まいこ

ビューティフル・ボーイのまいこのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
3.8
戻るにはあまりにも遠い旅だ

ドラマ『13の理由』の脚本家ニック・シェフと父親の実話を元にした映画。
主人公のニックは勉強も運動も出来る絵に描いたような好青年。大学へ進学し、ドラッグに手を出してしまう。薬物中毒の治療と再発、そして回復の道へ。

全体的に会話よりも、雰囲気で感じるシーンが多かった。ロサンゼルスとサンフランシスコの自然に癒される。
親視点、子供視点どちらも気持ちが分かるから観ていて辛い。親として過保護でも、放ったらかしでもいけない。子供として親の期待に応え続けなくてはという考えの元、疲弊が溜まり"気晴らしに"手を出したら止まらなくなった。
劇中では前妻との出来事、つまりはニックの過去について詳しく描かれていない、ように感じた。基本は父親が思い出の場所で小さかった息子の姿をフラッシュバックさせる効果を用いて、父目線から記憶と今を綺麗に語って物語は進む。だからどうしてこうなったという話より、誰が誰をどれほど気にかけていたのか、が大事なんだろうと思う。この作品に関しては。
実際のところ、目に見えない生活でニックへの影響があって青年ニックが誕生したのだと思う。表面上、素敵な家庭だろうが、金持ちだろうが内部事情はどうだか知らない。誰が悪いと言うつもりがないが(他人の家庭事情は複雑)、親の子に与えるインパクトは計り知れないのだなと勉強になった。

もし、自分がカレン(今妻)で連れ子がドラッグ漬けなら自分の子供と家庭を壊されるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまう。その点彼女はかなり優しいし車のシーンは感情移入してしまった。クスリによって生きながら死ぬ。ラストにかけて、"愛、思いやり、他人とはなんだろう"と思わせてくれる良作です。

そういえば相変わらずシャラメのオレンジチェックシャツはキマッてたし(クスリの演技も)、顔面も彫刻のようでした😌『The King』も楽しみです。
あと、フォロワーさんのピエール瀧さんって凄いんだなというレビューに確かにと納得してしまいました😌😌
まいこ

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