ゆずひこ

ビューティフル・ボーイのゆずひこのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
3.2
日本の若者の死因の1位は自殺だという結果が出てるが、アメリカの若者の死因の1位を占めてるのは薬物過剰摂取。その数なんと年間7万人という。

将来を期待されているどこをとっても完璧な青年ニックが何気なく摂取したドラッグがきっかけで人生が崩壊していく様をベストセラーである実話を基にして撮られた映画。
原作は献身的な大きな愛で息子を支え続けた父親視点で書かれたものと、ニック視点で書かれたものの二つに分かれてるんだけど、映画では二つの視点を交互に挟んで親と子の互いへの愛情と救いのない苦しみと葛藤が痛烈に伝わってきてめちゃ良かった。
ティモシーシャラメはあの美貌にしてあの表現力だから若手のなかでも指折りの逸材だと思う。才に恵まれ家族愛に溢れた青年がたった一回の過ちにより、家族への罪悪感を抱えながらもどうしようもない悪循環に引きずり込まれていく演技が凄すぎる。
映画ではドラッグをやる前の回想シーンを挟みながら進むのだが、徐々に感情がコントロールできなくなりやり場のない悲しみが壺に水を注ぐように溜まって窒息していく姿が恐ろしい。表情一つ一つが本当にドラッグをやってるんじゃないかってぐらいの変わりよう。
息子への愛と非力な現実に苦悩するスティーブカレルや母親役の演技も素晴らしかった。
実際に当たり前のように起こっているという現実、自分の子供の手元にいつ薬物に渡ってしまうかわからないんだから親は気が気じゃないよね。
かなり重い内容だけど、アメリカが抱える社会問題を現実的に炙り出した秀逸なドラマ映画だ。