矢吹健を称える会

麻薬王の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

麻薬王(2017年製作の映画)
2.7
 のっぺりした画面の感触が『ルディ・レイ・ムーア』と似ており、早々に不安を覚える。こういう「レトロ感」がいわゆる「伝記映画」にふさわしい画調なのだろうか。あと題材もそうだが、邦・洋おりまぜたポップ・ソングの使い方などにマーティン・スコセッシの影響が顕著で、しかもあまりうまいとも思えない。

 韓国に実在したらしい麻薬王をソン・ガンホが演じているが、好感も嫌悪感も抱きようのない、かなりどうでもいいキャラクターである。どうでもいいキャラクターが何となく出世して何となく落ちこぼれる話に2時間強かけられても困る。
 まあでもペ・ドゥナが出てきたとき(出演を知らなかったので)うれしかったですね……ソン・ガンホとは『復讐者に憐れみを』以来? いや『グエムル』でも共演していたか。両者ともそんなに老けたように感じられないあたりが流石である。

 日本描写のテキトーさはよかった。なんだあのストリップクラブ。なぜ酒場にお雛様があるんだ。こういうあからさまに間違ったディティールがかえって楽しくなってしまうくらい、映画自体は生真面目で退屈。