クイニーアマン

愛がなんだのクイニーアマンのネタバレレビュー・内容・結末

愛がなんだ(2018年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

2021/04/22
今泉力哉監督
主演 岸井ゆきのさん
キャスト 成田凌さん、深川麻衣さん、若葉竜也さん、保紫萌香さん
成田凌さんが出る作品ということで、鑑賞しました。「愛がなんだ」作品のタイトルの通りに生き様を描いていく岸井ゆきのさん演じる役に激しく胸が痛みました。恋は盲目、まさにこの言葉がぴったりな役で、今泉力哉監督が手掛ける演出の仕方が、とても面白かったです。
岸井ゆきのさん演じる役は、恋によって様々なものを犠牲にしていくんですが、自分自身は職やお金をどんどん失っても好きな人がいるから、会ってくれるから、抱きしめてくれるから、そういった理由だけで不思議なパワーに満ち溢れていました。恋している間、自分はこの世界の主人公なんじゃないかと思ってしまう、そんなキラキラとした瞳でした。しかし第三者から見た岸井ゆきのさんは、それを利用されている都合のいい女にしか見えなく、「早くそんな関係辞めた方がいいよ」と言われても思いつく限りの言い訳を並べ自己肯定をしてしまう、それでどんどん盲目になっていき、もはや好きを通り越して、愛してふを通り越して依存に近い感情になってしまっていました。「あなたが喜ぶのなら」「笑顔が見れるなら」「少しでもあなたの近くにいられるなら」そういった想いから、今度は成田凌さん(岸井ゆきのさんの好きな人)の好きな人である江口のりこさんを利用して3人で会ったりするようになっていきました。僕からしたら好きな人を、好きな人の好きな人と会わせるなんて辛すぎてみていられないと思うんですが、この作品での岸井ゆきのさんは傷ついては居たものの、こうしないと成田凌さんに会えないからといって何度も自分が傷つくことをしてしまっていました。最終的には成田凌さんの友達の近くに居座り且つ江口のりこさんとくっつく為に協力すると言って成田凌さんの傍にも居られる、タイトルの愛がなんだの通りの生き方をした岸井ゆきのさんに非常に共感する部分もあって心に刺さりまくりました。
この世の中にいる女性、きっとこういった生き方をする人は少なからず居るはずです。セフレから恋人には結局なれなかったからセフレ以上恋人未満という関係で満たされていると思い込んで、傷ついてる自分の気持ちを封印して、都合のいい女でもいいから傍に、近くに居たい、そんな生き方をしてる人、きっとたくさんいるはずです。
決して悪い事とは言えません。しかし自分の人生は自分が主人公だから自分が第一に幸せになれる方法を模索して欲しいとこの作品を見て感じました。好きな人を幸せにするために自分を犠牲にするのではなく、好きな人に好きな人がいて自分のことを傷つけるだけの関係性なら断捨離、その関係を断ち切ることが僕は懸命な判断だと思いますし今後の自分にも言いかけたいです。
役者目線として、1番印象に残った岸井ゆきのさんの芝居は、成田凌さんと久しぶりに会って昼ごはんどうする?と言われた時などの「え?うそ、嬉しい!」と言った表情が凄くキラキラしていました。本当に演技なのか不思議に思えてきたほどです。また、成田凌さんのクズ感、「今から会議あるから一緒に出るか先に出るかして」と言うシーンの、演技力は素晴らしすぎました。絶対に成田凌さんは岸井ゆきのさんの事好きじゃないでしょと言いたくなるレベルで、演技・芝居面で間やセリフの単調感やセリフの食い気味、表情の面倒くさそうな気持ちをしぐさから出してたりしていて、改めて上手だなと思いました。
成田凌さんから学べる表現力、芝居、間のとり方、表情や目線や目の眼球の黒目の開き具合、どれも一朝一夕には習得出来ませんが、役を生きる者として自分の個性に組み入れるところは盗みとっていきたいと考えます。
今回の作品、全体を通して、愛がなんだ 私の気持ちよりあなたの気持ちが大事なんだそんな事を言いかけられたような作品でした。