ほおづき

愛がなんだのほおづきのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
5.0
『パンとバスと2度目のハツコイ』でこの監督さんが気になったのでさっそく観た映画だったけど、この映画すごく好き・・・


『パンとバス~』とは一変、毒がありまくりの作風で、都合のいい女どまりでクズ男に振り回されてるのに、自覚あるのか無いのか同じ境遇の友人に説教しはじめたりするっていう女の子を中心に、若者の痛々しい恋愛模様を描くおはなし。

主人公たちのそんな姿を観ながら
「え・・こわ」
「おまゆうw」
を何回言ったことか・・・
なるほど拗らせ女子とかダメンズ男子のホラーを描く監督さんなのね。


というか何この既視感のあるシチュエーションの数々と、共感性羞恥しまくりの状況設定の数々・・・いや、もしかしたらこの人達は恥ずかしいとなどと思っていなくて、こちらが勝手に恥ずかしがってるだけなのかもしれないんだけど・・・

上っ面の仲間意識で結束してる陽キャが集まってるなんかよくわからない中目黒のバー。流れで行くことになってしまったあんまりパッとしない人たちと行くBBQ。自分で壊した空気にちょっと怯んじゃう、攻撃は最大の防御を信条としてそうな女性。謙遜しつつさりげなくマウントとってくる意識高い”系”女子。飲み会で会話に馴染めずぽつーんってなってお世話係に注力してる人。その人をじーっと見てるだけの人・・・

こわいこわいこわい
こんなものを映画にしないでw
リアルすぎてこわいw
背中から首筋にかけてをきゅーって上から摘ままれてる感じのぞくぞくする感じ、そしてこれまで人生で見てきたいろんな人達がフラッシュバックしてくる。

もうちょっと誇張して漫画ぽい表現に落とし込んでくれれば心から笑えるのに、あまりにリアルすぎてぞくぞくした謎の笑いに変換される・・・


主人公の行動や言動は、同族嫌悪だったり、プライドだったり・・・多少本人も自覚はあるんだと思うけど、認めたくなかったりがあるんだろうね・・・それか、ほんとに頭が弱い子なのか・・・いやでも、底抜けに頭弱いわけでもなさそうだし・・こと恋愛の価値観だけがおかしいだけであって、ほかのことの判断は正常に見えるし。
主人公と似た境遇の男が主人公とコンビニの前で言い合っていて、男は主人公と自分が似た者同士みたいなこと言ってるけど、男のほうは好きな女性のことをアイドルみたいな偶像として見ちゃってるから、根本的に2人は違う気がする。
結局は同類だけど。


仕事しててもたまにこんな空気読めないアスペみたいな人に苦労させられて、なんでこの人こんなに仕事失敗しててもヘコタレないんだろうって思う時もあるけど、こうやって作品として見ると、そもそもこういう人たちって、その分野に限っての不遇な状況に慣れ過ぎちゃって、そこだけ心が強くなっちゃってスルースキルが発達してるだけなんだって感じる・・・だから特化型でポジティブになれるんだ・・・


というか原作が『八日目の蝉』『紙の月』の角田光代さんなのね。原作読んでみたくなった。




えっと・・・・

もう1回観よっと・・・