【報われない、けどやめられない人達】
今泉力哉監督×岸井ゆきの主演のロマンス作品
〈あらすじ〉
28歳のOLテルコは、一目惚れした男マモルを愛しすぎるあまり、すべてマモル最優先の日常を送っていた。そのせいで仕事にも支障をきたし、会社もクビ寸前に追い込まれる。しかしそれほど尽くしているのに、マモルにとっては彼女の存在は恋人ですらなかった…。
〈所感〉
こないだ映画館で見た今泉力哉監督の『街の上で』が良かったのでこちらも鑑賞。本作も若葉達也と成田凌のコンビが両者正反対の役柄だったが、見ていて爽やかであった。本作でも若葉達也は青という名前なので、『街の上で』とどうしても重ねて見てしまう。葉子を演じた深川麻衣も普段のお淑やかな聖母とは打って変わって年下の仲原をこき使いまくる意地悪い女が新鮮で良かった。江口のりこ 演じるすみれ、歳重ねるとこういう年上女に甘えたり虐められたりしたくなるのもなんかわかる。そして主人公の岸井ゆきの演じるテルコ、５周先回りしたような気遣いができるがダメ男に尽くしてしまうどうしようもなさ。しかし、彼女にとってはそれが自然な形であり、それは世間一般の愛と名付けられるものではないかもしれないが、それがどうした！といった感じ。結局マモちゃんへの執着はずっと尽きない模様だが、彼女を見ているとゴールが定まっていなくたって、報われなくたって、恋愛なんて過程が楽しければそれでいいじゃんといった新たな価値観が見出せた。テルコ→マモル→すみれと仲原→葉子がの依存関係が似通いすぎていて食物連鎖を見ているかのよう。テルコが初めてすみれに会った後の帰り道のラップ、仲原とのストーカー同盟の反省会、あの開き直ったようなアンニュイな感じのシーンが特に面白い映画でした。
