停滞

愛がなんだの停滞のレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
4.5
恋愛というと最初どちらかが好きになって〜(略)〜両思いになって恋が実り愛が咲く、と言ったある方向へ収束していくイメージを持っている。それに照らして考えれば、この作品は原作が2003年のものでありながらどこか現代的、あるいはもう少し未来にありうる非単線的な想いの在り方が描かれていると解釈できた。そのこととマッチするように登場人物の距離感とかカメラの距離などで本当にそこに生起しているかのような感情が丁寧に扱われていると感じた(まさに不気味さがある)。ダメージを受けたと同時に上で述べたイメージの拘束性を打ち破る自由さ、あるいは岸井ゆきのが自分は大好きだった。

ファーストカットはテルコのクローズアップ。テルコの一人称視点で描かれるから半信半疑になりながらも彼女の思考のパターンが少しずつわかってくる。そうするとマモルがダメな人間という一般論的なことが気にならなくなってきた。マモルは手が綺麗でテルコは歯が綺麗だな、幸せになりたいというより強く生きたい、と思った僕でした。
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