片想いの歯がゆさとままならなさに、ぐいぐいひきこまれた。
ただ夢中で彼を追いかけていくうちに、それが恋なのか愛なのか執着なのか、どんどんわからなくなっていく主人公の暴走がとてもリアルで痛々しかった。現実世界でも、愛と執着をきっちりと線引きするのは難しいことなのかもしれない。三角関係の描写においても、彼が好きだから恋敵が憎い、と単純な構造になっていないのが良かった。その微妙な気持ちをちょっとした表情やしぐさで表す、役者陣の演技もすばらしい。
小説が原作だけあって、せりふ回しや主人公のモノローグにも、はっとさせられる言葉がたくさんあった。登場人物のキャラクター設定や関係性のバランスも絶妙で、さすがだと思った。
