とても、とてもよかった! あと怖かったぞ!! 一目惚れしたらスーパーまっしぐらなテルちゃん、彼女にホレられているハンパな男マモル、テルちゃんの友達で良く言えば図太く天真爛漫な葉子、葉子の恋人と言うか便利屋と言うか奴隷と言うかな仲原くんの4人。そしてここに年上のパリピおば……お姉さんのすみれさんが加わって織り成される、大人だけど子供みたいな低体温の恋愛劇。
言うまでもなく恋愛ひいては人間関係とは人と人とのぶつかり合いであり主張と妥協の連続なのだが、主人公たち4人はそれを絶妙に回避する。多少コトを仕掛けたりもするが、青春映画や難病恋愛映画のような劇的な事態には至らず、ゆるやかに、なんとなく、流れるように心はくっつき、また離れていく。しかしそれぞれが、己が理想とする恋愛の操縦捍を手放すことはほとんどない。
要は4人とも自分のこと、理想的な人間関係しか考えていないのだ。強い言い方をすれば彼女らは心の引きこもりであり、後生大事に自分のお城を守っているばかりで、白馬の王子様/お姫様を待っているばかりなのである。病的と言わば言え。しかしこれが現代のリアルな感覚ないし欲求だと断言できる。現代っていうかね、私やあなたのリアルですね。そう、これを読んでいるあなたですよ!!!!!!
「この場面ならこうだろう」と、慎重な腰の重い選択で決められたであろう映像には少しも浮わついた部分がなく、この静かにアブない物語をじっくりと、でも優しく描き出す。じっくりすぎて2時間越えちゃってるのとか、あと独白の多さが玉にキズ。物語、撮影、演技ががっしり整えられた、良き「邦画」を久しぶりに楽しめた。怖かったけどな! よしわかった、私パスタ作る!