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愛がなんだのKentaのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
4.1
今泉力哉監督作品。
ごく一般的な女性の極度の片思いの恋愛を生々しくリアルに描く。友達以上恋人未満のような関係をズルズルと続ける男女の関係。共感できるできないは人次第ではある。"愛"ってなんだっけ。現代ならではの恋愛がここにはある。

たまたま出会った男と女。マモルとテルコ。テルコは、マモルに出会ったその日に一目惚れというものをした。
それ以来というものの、テルコの生活に限らず、人生そのものがマモル中心で回っている。連絡があれば、仕事でも連絡を優先し、家にいるのに「今、仕事終わったところだよ」なんて嘘をつく。終いには、仕事もクビになってアラサーにもなってフリーター。それでも彼を好きでいる。
そんなテルコの一方的な片思いが続く中、なぜかマモルは距離を置き始める。テルちゃん呼びから、ヤマダさん呼びに変わり、連絡も途絶える。だが、再び、マモルが連絡をしてくるのだった…。

愛ってなんだっけ?
今作を鑑賞しながら、ふとそんなことを考える。そんなもの、完全に個人の主観であるし、人それぞれだろう。それに、『愛がなんだ』と問いをかけるようなタイトル。これに惹かれたし、虜になった。

あのもどかしい関係性に、岸井ゆきのと成田凌はピッタリな二人だったと思う。
特に岸井ゆきのだ。今作を観るまで、恥ずかしながら存じ上げなかったが、ここまでリアルな演技をするかと。極度の片思い中のイタい女性役が似合うわ似合うわ。

ラストの描写を皆様はどう感じる。
岸井ゆきの演じるテルコは、ラストに動物園の象のところで働いているように見える。それは、マモルとデートに行った時の一言がきっかけだろう。その描写の前に「私は未だに田中マモルではない」なんてナレーションが入る。正直、そこいらのホラー映画よりも怖かった。背筋がゾクゾクしたし、あの先を考えただけで恐怖でしかない。人生を完全に田中マモルに委ねている。信じられない…。。

でも、やっぱり中原もいいんだ。
テルコとマモルの話の作品なんだけど、サブで動いてる中原と葉子の恋愛模様もまたいい。中原の言う一言一言がなんだか分かる気がするし、中原の高嶺の花である葉子といれるだけでいいなんていうそのスタンスよ。好きだからこそ離れるその決心。中原みたいな人こそが、幸せになるべき。「幸せになりたいっすねぇ。」だなんて、ふと呟いた一言が、心の底からの切実な願望にしか聞こえなくて、観てる僕もあぁとなってしまった。

今作を機に一気に注目されるようになったかな、今泉力哉監督。少なくとも、僕は今作を機に監督を知ったところがあるし、今作も今作で好きだった。公開中の作品もあれば、これから公開の作品も多いため、目が離せない。