アネモネ

愛がなんだのアネモネのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
4.5
いやー、参った。
ガツンときました。
仕草や台詞、関係性全て
こんなに細部までしっかり練られた脚本と演出に、観てる間ずっと
「なんでー、なんでここまで表現できるのー?」
とか
「あるある、こんなシュチュエーション」と
言葉が出ちゃうくらい。

原作に敬意を表しつつ監督らしさが随所に出ていて、気が付いたら映画の中に引き込まれていました。

本当によくある出会い、人間関係。
んー、東京あるあるって言った方がしっくりくるかも。
いるんですよ、出てくる人みんな。
ああ言う人。
田舎者の私にはどーしても薄っぺらく感じる会話をする若者。
知人を紹介したがる自称顔広い人が居て、一回たまたま飲んだその時会っただけの人から謎に誘いが来たりするよねー。
おかげで普段行かない駅に行ったりして東京と言う街を覚えてく不思議。
そしてテルちゃんみたいな子もマモちゃんみたいな子もすみれさんみたいな子も自分らしく生きていけるのが『東京らしさ』。
この感覚は田舎出身の私の劣等感かもしれない。

まず、この劣等感的な感覚を思い出させられて情けなくなった。
実はみんな自分を知っていて、
だからかな、自分の考えをしっかり持って暮らしていけるのが、羨ましかった。
私は、ちゃんと自分を知ろうとしてただろうか。。
私は、どんな時も自分の心を守って素直に生きていただろうか。。



いやいや、私が驚いたのはそんな事だけではありません。
テルちゃんの、自分の心の決め方。
本当に衝撃だった。
帰り道に歩きビール、公園ランチ、社会性や人目などに惑わされずどんな時でも揺らがない自分。
常に自問自答。
一瞬揺らいだのはナカハラ君の離脱により、ヨーコちゃんに思わず自分の迷いをぶつけてしまった時。

ナカハラ君はもう一つ大事な物を持っていた。
テルちゃんには自分しかなかった。
それがマモちゃん。
恐ろしい事かもしれないけど、それでも私はテルちゃんを羨ましいと思った。

ヨーコちゃんもすみれさんもナカハラ君も、
私は大好きだ。
テルちゃんは、友達だったら面白いかもしれないけど、ヨーコちゃんのような親友にはならないと思う。
なのに私は、テルちゃんが羨ましかった。
『目標』『なりたい自分』を持ってるから。

この映画に出て来る人達のように自分がどうしたいのか、
当たり前のように自分と向き合ったりする事が、
私はいつの間にかできなくなってなりたい自分を見失なってしまった。
東京で暮らしているからとかじゃなく、
どこに住んでいたって目標は持てるはず。
テルちゃん同様私だって『なりたい自分』を持つ事は生活の中で重要だったのに。。
だから、私はテルちゃんを見て劣等感を感じたのかもしれません。

自分の意思でお店を辞めたけど、
本当はわかっていた。
この先やりたい事なりたい自分を見つける事ができないんじゃないかと。
そしてまだ、私はもがいているのです。
またお店をやるとか、そんな大きな事じゃなくていいのに。
テルちゃんみたいに生活の中で見つけられるものがあるはずなのに。
私のやりたい事は、なんだろう。。
アネモネ

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