がく

銃のがくのレビュー・感想・評価

(2018年製作の映画)
3.2
東京国際映画祭にて鑑賞。
友人達と青春を謳歌する大学生トオルはある日、偶然河辺で拳銃を拾ってしまう。銃を持ち歩き、緊張とスリルで満ち足りた感覚に酔いしれるトオル。その「銃」は圧倒的な存在感を放ち続け、日を追う事にトオルは変わっていく。
本作は終盤までモノクロ映像で物語が展開されるが、その映像美がこの作品の質を高めている。犯罪者が持つ常軌を逸した思考回路や崩壊した理性、それらを文学的に綴っているこの映画にとって、モノクロ映像は重要なスパイスであった。想像が膨らみ、ドキュメンタリー性やリアリティの度合いが一気に倍増するのである。
しかし一方で、文字や細かい表情が見えずらく、色彩の区別がつきにくいといったデメリットも受容しなければならない。

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第31回東京国際映画祭
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映画祭では、試写会後に監督とプロデューサーによる挨拶が。当初主演は綾野剛で企画されていたが、大学生に見えず虹郎になったこと。本作で使われるアパートは実際に虹郎が住んでいたこと。殺された男は当初大物俳優であったが、ギャラが高すぎて虹郎の実の父親になったこと等、本作が完成した経緯はなかなか面白かった。
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