アタフ

銃のアタフのレビュー・感想・評価

(2018年製作の映画)
3.6
『銃』

そのタイトル通り、銃を手に入れてしまった男の話だ。

映像はほとんどモノクロで、生気が無い。この虚無的な雰囲気は良かったと思う。

銃を手にしてしまったことによりトオルは次第に狂気に捕らわれていくのだが、その狂気描写が生ぬるいと感じた。

トオルの心境などは全てナレーションで語られるのだが、いちいち心境を語られるので、彼の異常性を感じることができない。ナレーションなしで彼の行動を淡々と映したほうが何を考えてるのか分からない異常性が際立つと思った。そうすれば、広瀬アリスの「何を考えているのか分からない」というセリフにも納得できるのだが。

また主役のトオルについても、嫌いまではいかないにせよ、彼がまたなかなかイケ好かない奴で、感情移入が難しい。普通に嫌な奴である。彼の友達なんか、調子乗った大学生を絵に書いたような奴で、出てくるだけでイライラする。

ですが、なんだかんだ終盤の展開にはドキドキしながら鑑賞することができましたし、それなりに楽しめたのも事実。ラストに画面一気に変化する展開はとても良かったし、エンドロールへの入り方も好み。


あと、役者についても色々言いたいことがある。

まず、リリーフランキーですが、トオルを疑う刑事という役で、当然ではあるが彼の演技が一番素晴らしかった。じんわりとトオルを尋問するシーンは、緊張感が凄いし、このねちっこさはリリーフランキーにしかできない。「あなた」の言い方が古畑任三郎っぽくて好き。

また、ワタクシ一応ハロプロオタク通称ハロオタなもんですから、元モーニング娘。の新垣里沙が出演しているということで注目していたのだが、予想以上にイヤな役回りだし、子供を虐待する際のセリフの演技が結構酷い…あんた舞台とか結構やってんだからもっと上手くできるでしょ、と思った。

そして一番印象に残ったのが日南響子。彼女の登場するシーンは濡れ場がほとんどで、かなり露出しているので、最初はAV女優が演じているのかと思っていたが、エンドロールで日南響子と知り驚いた。
個人的に日南響子といえばWOWOWで放送されていたEURO2012(ヨーロッパのサッカーの大会)の番組にEUROガールとして出演していたのが印象に残っている。とても清純そうで可愛いのだが、サッカーのことなど何も分かっていない様子で、「この子可愛いけどこの番組に必要??」とか思ったのを覚えている。あんな清純そうな子が、激しい濡れ場シーンをやるようになったのか、と少々複雑な気持ちになった。
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