藻類デスモデスムス属

銃の藻類デスモデスムス属のレビュー・感想・評価

(2018年製作の映画)
3.5
焼酎。


焼酎は悪酔いをしないと聞いた。焼酎の味は嫌いというわけではないが、とりわけ好きというでもない。どちらかという疎ましい味だ。だが、アルコールを高めたくて飲む。居酒屋でしっかり飲む時には、初めの数杯はビール、まだ飲みたい時にはハイボール、雰囲気がしっぽりしてきたら焼酎である。私は酔うと陽気になるらしい。酔っ払ってる時が一番良いよと言われることもあれば、べろべろになったせいで彼女を一週間くらい怒らせてしまったこともある。でもたいていは、色々な制約、例えば同行者がどの程度飲むか等によって、そのテンションまで到達しないことが多い。そういう時には、酔ったふりをして陽気になるのである。自覚的に酔ったふりをしない場合も、なんだやけに陽気にしているじゃないかと、自分に気づく場合がある。こういう時に、ある種の嫌悪感を自分に感じる。ほろ酔いは余計に、醒めてる自分を際立たせる。無邪気に酔える人が羨ましい。よっぽど親しい人を別として、いや、親しい間柄であっても時には、どこかで警戒しているか、打算をしており、媚びていて、小賢しく、狡いのである。「銃」は、そんな自分の、または人の嫌だなと思う所を、引き寄せる。言葉では表しにくいもやもやとした嫌悪感が海坊主のようにのぞいている。でも嫌いではない。そういう負の感情を断罪して、除外するのではなく、磨きあげている。警官と対峙するあの愚かさは良かった。したり調子で語る幼稚さを、手放せなかった。焼酎を飲むように、この映画を見た。蒸し暑さの残る九月のように酔いが深まると同時に、皮膚に当てられた刃のような冷気を感じる。居酒屋から外に出ると雨が降っていた。じめじめとした季節はすぐに来る。晴れ間の爽やかな公園も。気をつけなければないのは、自分では酔ってないつもりでも実は酔っていてその銃口は…。