まりぃくりすてぃ

ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールドのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

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架空や過去話でなく現実に人が死んで私が号泣したのは、今までの人生で、父、祖父母、そしてジョージ・ハリスンの時だけだ。(もしかしたら他にあるかもしれないが記憶にない。)
JS5頃から一貫してジョージを好きでい続け、当然ジョージの全曲を多年にわたってダシ・髄・ガラまで味わい尽くし、標準的コアジョージファンとしての知識も得まくり済み(☜あと高価なパティー・ボイド自伝を買って読みさえすればジョージ学の修士課程修了。これがナカナカ手に入らないのよね…。今年こそは…)なので、今初めてこのDVDを観て、「何か、ジョージのドキュメンタリーとして行き届いてないなー。既存の映像と、関係者から提供あった秘蔵映像と、最新インタビューを、スコセッシの好きなように編集しただけで、映画監督としての仕事なんて特にしてないよね、これ。あたしが編集したらもっと上手くやるのに」とブツブツ言いたい部分と、「よかったーぁ。やっぱジョージ好き。好き。好き」と満たされてる部分と。。。


◇◇よかった点◇◇

☆ 本格デビュー前の映像や逸話はやっぱ惹きこんでくれる。
☆ アストリッドのアトリエでのジョンとジョージの写真のところ、ちょっと泣いた。そこから This Boy を「いい曲だ、悪くない」って言う流れ、涙腺ユルが続いた。
☆ ポールの And I Love Her のイントロをジョージが作ったことを、(そこまでズバリ言ってはいないけど)濃厚に示唆。フェアな作り。
☆ クラプトンとの初共演曲の Ski-ing をちゃんと流してる。
☆ ラヴィ・シャンカールとの海辺の光こぼれる美映像。
☆ マハリシの引っくり返ったヘン声を初めて聞いた。不思議なインド人だったんだね。。
☆ 神秘体験について論客にジョージが冴えて流暢に答えてるところ。論客が何言ってんのか私はわからなくなったのに、ジョージはちゃんと理解して即答してるんだもん。
☆ ポールとの Hey Jude の時の軋轢を、Get Back セッションの時の口論の伏線としてちゃんと収めてる。
☆ ジョージのうがい、初めて見た♡ 二回出てくる。
☆ ジョージのシャワーする裸がチラッと見えた♡
☆ ジョージの「ラヴィたちが賢者の本を何冊もくれた。その中にスワミの本が “神や魂を信じるなら知覚できるはずだ。できないなら諦め、偽善者より無神論者となれ”。僕はそれまでカトリックとして育った。それは教えをただ信じればよい。直接的な体験ではないのだ。インドに行って、ある人に言われた。“直接感じるまでは何も信じてはならぬ”。すごい!と思った。初めて納得できる言葉に出会えた。深奥を究めたかったんだ」という語りに共感した。
☆ 誇りある奥様オリヴィアのインタビュー内容が含蓄ある。ジョージの浮気のことは知ってたけど…… 奥様はジョージと殴り合いの大ゲンカもしたんだと!
☆ 暴漢の顔写真を初めて見た! もっとキモいオッサンシリアルキラーかと思ってたら、金髪のロックスター崩れみたいなヤツだった。(オリヴィアによる回想実況もあり。)
☆ いつどこに出てきてもリンゴはイイ人だなーぁと。笑わせてくれるし、泣かせてくれる。何よりも、ジョージへの愛が溢れてる人だ♡
☆ 元F1レーサーのジャッキー・スチュアートの語り~リンゴの「ジョージの最期の言葉」の語り~オリヴィアの「ジョージの離れていく魂が…」の語り。ラストにかけてのその三連に私、涙。
☆ ジャッキーの語った「ジョージの死ほど、ある人を失った喪失感がこれほど私の中で長く続くのは初めてだ。彼の一番の親友ではなかっただろう。私より長いつきあいの仲間がいたし。だが、彼と親密だってことが今でも私に影響してる。同じことを言う人はきっと何人もいるだろう。そう思わせるのは技じゃない。オーラだ。彼のオーラで気持ちよくなる。本当に特別な存在だった」という言葉に心から共感! 私マリも、「私はジョージの一番のファンとまではいえないだろう。私より長く熱く深く聴いている人もいるし。でも、彼のファンだってことがいつも今でも私に影響してる。同じことを言う人はきっと何千万人もいるでしょう。そう思わせるのは技じゃない。オーラよ。彼のオーラで気持ちよくなるの。本当にジョージは今でも特別な存在であり続けてる」と声を大にします!
☆ 特典映像で、Here Comes The Sun の幻のギターソロを初めて聴けた!


◆◆問題点◆◆

★ “ジョージの精神性の軌跡を主テーマにしてる” ようでいて、そうではない要素もかなり多く含んでいて、では、何を排して何を取り上げたのか、の取捨選択の基準が判然としない。おそらく奥様オリヴィアや一粒種ダーニの気持ちを逆撫でしないよう配慮した結果だろうけど、「ジョージがピート・ベストを嫌ってバンドから追い出した」「インド楽器とは『Help!』の映画制作中に偶然出合った。必ずしも一貫して求道的な見地にだけ立っていたわけではない。瞑想もそもそもは、パティーがジョージに勧めたもの。のちに瞑想へのジョージののめり込みすぎ(それと裏腹な精神不安定)にパティーが辟易し、同時にジョージの浮気や優しさ不足が矛盾点的にパティーを寂しがらせて追い詰め、それらが結婚生活の破局につながった」「彼氏持ちのパティーをそもそも掠奪してカノにしたジョージが、今度はそのパティーをロン・ウッドに奪われ、最後にクラプトンに奪われた、そのへんの因果応報」「My Sweet Lord の盗作訴訟を悪徳商人に起こされ、超不当判決で天文学的な賠償金を取られた。恥かいてクリエイターとしてのプライドもズタズタ」「70年代前半はロック史を牽引するぐらいに絶好調でジョージ本人も鼻高々な部分とマイペースな部分を心地好く両立させていたが、その後、ヒットチャート的には鳴かず飛ばずとなり、満を持して完成させたソロ自信作もあまりヒットしなかったりして、いろいろあって消極的になっていった」……といったような当然ジョージの人生や人生観に大影響を与えたにちがいないことを全部スルーし、「じつは、物欲かなりあり。大邸宅に引き籠もって庭いじりばっかりしていたいのさ。隠居好き」というズケズケな急所突きもしないし、標語のように「ジョージの精神的探求」「ジョージの瞑想」「ジョージには二面性」「理想と現実の不一致に苦しんでた」等々を言っても、ドキュメンタリーとして肉不足の斬り不足。時間も急に経過。長ったらしいところもあり。
★ ビートルズ時代と70年代初頭の曲をこれでもかこれでもかと(必然性ない場面でまでも)流し、75年から87年までの曲を一つも使わず。(いきなり88年のトラベリングウィルベリーズへと飛ぶ。)EMIと密約してワーナー時代の音源を全部無視したの? ビートルズ解散直後に大成功して天狗になってた感じもするジョージが、いろんなことに傷ついて(ぶっちゃけ、自殺寸前のどん底まで落ちて)、それらを乗り越えてようやく(オリヴィアさんと再婚してダーニも生まれて)本当の人生をスタートさせて、そこからが真の真の真の魅力的アーティスト・魅力的求道者・魅力的男子になって、何といってもスライドギタリストとして唯一無二の存在になって良曲・良語の多産者になったのに、このドキュメンタリー映画は一見ジョージに最大限の敬意を払ってるようにみえて実際はジョージのソロ時代は(最初以外)すべて低調だった(興味対象ふくめて散漫だった)と言っちゃってるように私は思う。それ、世間のステレオタイプなジョージ観じゃん。私をふくむ本当のジョージファンにとっては、ワーナー時代のダークホースレーベルから出されたアルバム群こそが最高の音楽なんだよね!! 単に「ビートルズの中ではジョージ推し」とか「ポールやジョンが好きだけど、ジョージの価値もわかるよ。ビートルズがもしも解散しなかったら、って今でも夢見ちゃう」なんていう浅っちょろい気持ちなんて持ってないの。文字通り「世界のすべてのミュージシャンの中でジョージ・ハリスンが一番好き♡♡♡♡♡ 単体として好き。彼の作る音楽も、ルックスも、生き方も、全部」って言い切れる人、集まれ! それは「あゆ(浜崎)が好き♡ 音楽も、顔も、生き方も」って一昔前にたくさんのたくさんの女性が言い切っていたのと似てるけど、その100倍も格が上!
ジョージの何が良いか? かっこ悪いとこ、失敗しちゃうとこ、ダサイとこ、下手っぴまじりなとこ、とにかく、私たち普通人とおんなじ “ちっぽけさ” (普通さ)がいっぱいありながら、誰よりもかっこよく、誰よりも素晴らしく、そして文句なしに美音楽の天才なんだよ! こんな人、少ないんだ。
例えば、ジョージのギターは、技術的には、クラシックギターやブルースギターを五年程度本気で修行した人だったら容易にコピーできるぐらい、大したことない(と言われている)。でも、ジョージは、どんな場合にも、まったくお手本のない白紙のカンバスに独自の色と形をつくってゆき、結果として、その曲に最も適したものをちゃんと残す。すべてがさりげなくストライクなのだ。(プロデューサーのミスによるいくつかの失敗例は除く。その失敗例とは、Let It Be シングルバージョンの、のほほんリードギターぐらい。後にちゃんと録音し直してアルバムバージョンで最高叙情リードギターを残してる。)
ジョージと同じように弾いてみろと言われれば多くの人が後からなら弾けるかもしれないけど、「最初から何もないところに弾いてみろ」となれば誰もジョージのようには弾けない。この世にジョージほど、ハズさないロックギターを謙虚ながら手慣れたカオで弾いてみせてそれが個性的である人はほとんどいない。てか、シンプルに、ジョージのスライドギターは技としても世界最高だから!
そんなジョージの、シンガーソングライター人生最高のお仕事は、76年のアルバム『33 1/3』と79年のアルバム『慈愛の輝き』、そして82年の Unkmown Delight の間奏部と、89年の Cheer Down のエンディングだろう。特に、本心からジョージが好きでジョージの全曲を聴いているファンの中で、『慈愛の輝き』の冒頭曲 Love Comes To Everyone の悪口を言う人はいない。そんな人とは私は出会ったことがない。
歌詞も、もちろん一貫して求道や信仰や真理愛、そして普遍的人間愛がテーマだ。
だから、このドキュメンタリー映画で執拗に70年の『All Things Must Pass』収録曲ばかりを繰り返すことは、「それ以降はジョージは低迷して散漫な活動しかしていなかったでしょ。ヒット曲って All Those Years Ago と Set On You 以外に何か歌ってたの? 」という世間のにわかファン(ジョージになど大して興味持ってないビートルズファン)の認識に合わせてるように思えてしまう。
「精神性がテーマだから。別に、ジョージの音楽を時系列で網羅していこうとして作ったわけじゃないから」って言うかもだけど、だったら、なぜ精神性と関係のないモンティパイソン関係のインタビューを長々入れたり、レーサーたちとのやりとり・晩年の音楽仲間たちのことやウクレレ凝りなんかにも時間を割いたの? 特に Disk2の方のバランスが悪すぎるんだよ。だいたい、Disk1が終わってもまだビートルズが解散してないし。
とにかく、ソロ時代の楽曲使用があまりにも少なすぎて、 Set On You の全米1位のことにさえ触れてなくて、ジョージハリスンの何を伝えたいのかかえって曖昧になってる。単に「人柄のよい、親友の多い、信仰と哲学と自己探求と求道精神を抱えてよく頑張った魅力的内面の人」というだけだったら、そんな人はこの世にいっぱいいるわけであって、私たちがジョージに一生モノの関心持つのは、あくまでも「ジョージの作った音楽」に惹かれてのこと。彼だって、真っ先に私たちがジョージの音楽にこそ慰め支えられ沸き立たせられていることを知ればそれが一番嬉しいはずで。「探求」は、個々人が頑張ればいいことで。
結論。ジョージの精神性やジョージの人生の尊さを描こうと思ったら、できるだけ彼のすべてを描け。ということ。勝手に自己流にスコセッシがジョージのコレとコレとコレを抜き出してオリヴィアさんをまあまあ喜ばすような形よさを完成させても、そこには「ジョージハリスンの音楽が好きで好きでたまんなくてジョージを聴くたびに涙が出てくる」というほどの「好き」の迸りがなさすぎて、あー、商売したんだね、としか。。。。
だいたい、“物質世界に生きて”という題だったら、例えばジョージが生前、息子のダーニに「みんながみんな、うちみたいに裕福な生活ができるわけじゃないんだよ」ということを語って聴かせていた、というような逸話も欲しい。その一方、ジョージの実姉のルイーズが晩年、日本でいえば生活保護者みたいな困窮状態に置かれていたことなんかも今では世界に伝わってる。(その後、ルイーズさんがどうなったのか知らないけど。彼女はビートルズのアメリカデビューの頃に身を粉にして弟のために協力したりした人だったそうな。)


◇◇他、やっぱりよかった点◇◇

☆ ところで、私は今まで、「ジョージは癌と闘っている最中に暴漢に肺を刺されて、確実に寿命が縮まった。ジョンの時とそう変わらない暗殺行為に遭ったんだ。即死の暗殺か、ゆっくり死の暗殺か、それが違うだけ」というふうに認識解釈していた。
今回、このドキュメンタリー観たら、息子ダーニももちろん「あれで父の命は縮まった」と当たり前のことを言っていたけど、オリヴィアさんのインタビューで「闘病中にああいうことがあったために、彼は死の覚悟を決めて、魂が最上最善の離れ方をしていけるよう心の準備に入ったのです。私たちは、海辺で、過去をふりかえって『僕はいい夫だっただろうか?』とか穏やかな素敵な魔法のような時を最後にすごしました」みたいなことを語っておられた。私は「あー、そうか、、、、あれを『災難に遭った』とだけ思うんでなく、そういうふうな受け止め方ができるんだー。そうだ、そういう考え方そのものが、ジョージだったんだ」と泣けてきた。
たしかに、ジョージはアンソロジー期の90年代になってもなお長年確執のあったポールと溶け合わずにいたが、ついに死に際近い病室では出会いの頃の友情を取り戻していたみたい。(その和解はポールが勝手に言ってるだけだと私は長年疑ってたんだけれども、二人は本当に最後は仲良しだったんだね。)また、デビュー直前に追い出したような格好になってしまったピート・ベストに対しても「僕は彼に何もしてあげられなかった」、姉ルイーズに対しても「もっと良くしてあげればよかった」とか、そういう気持ちを最後に自分の中で温めるようになったんだろうね。
スコセッシ、ありがとう。すばらしいドキュメンタリーを一つ残してくれました。やっぱり収穫あったよ!
ジョージが亡くなった時、日本のビートルズファンクラブの追悼号会報で「ジョージ、あなたのことと、あなたが歌った『愛はすべての人に』という言葉を一生忘れません」「ジョージが僕たちに贈ってくれた音楽は、Loves Comes To Everyone など暖かいものばかりで」「ジョージの優しい歌が大好きです」という追悼文を何人ものファンが書いていた(のを私はずっと後にバックナンバー取り寄せて読んで、噎び泣いた)っけ。


◆◆欲をいえば◆◆

★ ビートルズ時代のところ、 This Boy のジョージパートをダーニが独唱してくれるシーンとかあれば。あと、ジョージのギタリストとしての腕前をもうちょっとだけ強調する具材を入れてほしかったかも。初期の彼の最高の武器はチェット・アトキンス奏法だったんだから I Don't Want To Spoil The Party のきらびやかな挿入は要るし、彼がリフ考案したことを明示した上で Ticket To Ride の12弦正確弾きを、そして彼の独壇場といえばの Roll Over Beethoven を(公式音源でもライヴのでもいいから)流してほしかった。それと、彼のアコースティック安定力は玄人の耳にも定評あるらしいし、見映え的にも、エドサリバンショーの Till There Was You のみずみずしい間奏ソロ姿の映像がないと淋しいんですけどぉぉ。


※※本作に入れるべきだったソロの名曲たち※※
(年代順)

Far East Man
https://youtu.be/OuORIOvBR-8?si=vQjpHDiT0a1DNktW
これは声嗄れの時代の唯一の名曲。ひょっとしたらAメロはロン・ウッド(パティーを寝取った男)が書いた可能性もあるが、大サビは(サビも)ジョージの作風。お釈迦様への憧れを説く歌詞。全盛期のSMAPみたいな上質なフンイキです♡

See Yourself
https://youtu.be/N5c8JD1iDhc?si=TlOS-kZk8CyPXy1f
魔法! ポールやジョンの助けがなくてもジョージ独りっきりで完全にビートルズ全盛期のカラーを出すことができることを証明してみせた逸品! ポールの Jet がジョン&ジョージのコーラスの代用でリンダ&デニーのコーラスを鳴らした結果として“ポール&バックバンド”の傲慢さをついつい発散させまくったり、ジョンの Only People がビートルズ風のポップテイストを持ちながらもポールのハーモニーヴォーカル(やリンゴの力強いドラム)なしには非力で終わってしまうという現実を晒したもったいない出来だったことと比べ、ジョージのこの曲は、何の不足もない! 歌詞は、「他人を悪く言うのは易しい。自分を見ろ、真実を見ろ」。

True Love
https://youtu.be/ebrYQjF8n7o?si=N6u_5IZ1kA4PsutB
おそらくロックアーティストによるポップスカヴァー史において、ビートルズの Please Mr.Postman、ビーチボーイズの Why Do Fools Fall In Love と並んで最高の出来。クラプトンが「ギタリストとしてのジョージの長所は?」と記者に問われて「スライドギターでロックンロールができる男は世界でジョージしかいない」と簡潔に答えたそうだが、その最高の具体例がこの曲。嘘だと思う人は、原曲と聴き比べてみればいい。至福のたった3分間。

This Song
https://youtu.be/T0i9rjTxhpY
厄のついてしまったマイスイートロードよりも、楽しく聴ける。 その時代の流行りの感じという以上に普遍的にAORとして成功してる。ちゃちゃっとこれを作れちゃう人は天才です。

Beautiful Girl
https://youtu.be/RaSAPhXOJuY?si=728MhkzOovV_66ss
女の子で、これ聴いて「濡れそうにならない」って人はいないでしょ。終盤のスライドギターのとこね。少なくとも、毎回、痺れてきます。

Love Comes To Everyone
https://youtu.be/LfpoQoHVnPo?si=T0OcA-KZySYG7OQd
ソロ時代のジョージの代表曲!! これに支えられて生きてる人、多数かも。なぜかジョージ以外の人が歌うと地味な子守唄に終わっちゃう。でも、クラプトンが唯一、公式カヴァーしたジョージ曲ってことに、説得力あり。私は、人生で一番辛い時に、これ聴いて歯を食いしばった。今も、辛い時や淋しい時や誰かに優しくしたい時や世界中の幸せを願う時とかに、そっと聴きたくなる。

Dark Sweet Lady
https://youtu.be/Mqq_yEJlwDQ?si=G_u_sJV0kAgDaYFy
ジョージを自殺から救った女性オリヴィアに捧げられた曲。お洒落だし、大人だし、甘くて隙ありなところと緻密で丁寧なところが混在する、まさにジョージその人の誠実さの普通さを示す佳曲。間奏のアコースティックギター、是非、オリヴィアのインタビューとかの背後に使うべきだった?

Life Itself
https://youtu.be/Y1_9-x9-Fzg?si=FGIXi8rab8r1s-Hq
美しき正しき信仰(万教帰一)のバラードですが、スライドギターの調和的突出がやっぱりタダ者じゃない。

Unknown Delight
https://youtu.be/9cTCTfjTndU?si=J7Nh3hKyzyFbzOr3
これは、Here Comes The Sun、 Old Brown Shoe に次ぐ、ジョージハリスンの生涯最高曲! 初めて聴いた時、「Something に似てる…」と思ったが、ポールのベースがでしゃばりすぎてた Something よりも、こっちのが良い! 世界中で、こういう旋律を作り出せてこういうギターを満ちあふれさせることができる人は、ジョージしかいない。この世で本当に、一切誰も真似のできない、ジョージハリスンミュージックの真骨頂! 特に間奏のスライドギターオーケストレーションに包まれて私は、必ず目を閉じます。日本だったら沖縄のルート58沿いの椰子の木なんかの夕景を想い浮かべながら。。。。
この曲、子供の時から私、ジョージの最高曲ってひそかに思い続けたんだけど、最近になって、妻のオリヴィアさんも「これが一番好き」って語ったそうです。一人息子ダーニのすくすくした成長を願って「子供は、世界の宝……」と歌われてます。(あ、夫婦ともすらっとしてるのに、なぜかダーニは160㎝台で止まってしまったみたいね。。もしかして菜食主義を強制されたか? 背が高くなりたい人は肉食べましょう。)

Mystical One
https://youtu.be/GtYXbcixe_s?si=VG1dGNqtQEdHK86W
これも同じく傑作アルバム『ゴーントロッポ』の収録曲。親友クラプトンへの友情を書いたそうなので、ドキュメンタリーのクラプトンのところで流してほしかった。Unknown Delight ほどの強力さはなくポップだけど、これも立派に、ジョージにしか作れない変種の曲。

Cheer Down
https://youtu.be/Yk-5iu1QE0E?si=pEbE2uJ0EvDA1CAM
カンペキな曲。かっこいい。Set On You がビルボードで一週1位だったんなら、こっちは四週1位ぐらいにならなきゃいけなかった。アメリカのリスナーはちゃんと耳掃除して聴いてんの?って思う。 リーサルウエポン2っていう映画のエンディングのために作られたんなら、自動的にリーサルウエポン2は世界最高映画だね。(私は観てないけど。)
とにかく、アウトロの延々と続くスライドギターは、ジョージの音楽家としての最高到達点。誰も真似できない。真似する必要もない。このセンス。一切の過不足なし。一音たりともムダなし。天才です。陶酔。天才です。

Heading For The Light
https://youtu.be/VarURT-pH8o
ジョージお得意のアップテンポナンバーは、わりと似たような感じのが多いが、What is Life、Don't Let Me Wait Too Long、If You Believe、Faster、Teardrops、All Those Years Ago などの名曲・ヒット曲・シングル曲よりも、私はこれを一番ドキドキさせる売れ筋のポップ曲だと思う。サビ部分は(編曲全体とともに)ジェフ・リンの手が入ってるだろうけど、それならそれでジェフとジョージの最高コラボだ。歌詞はあいかわらず求道と信仰。

Never Get Over You
https://youtu.be/31B6BuTVgjY?si=8GrbY__KJXgm-GBK
遺作。かつてジョージの命を救ったオリヴィアに、最期に遺したラヴソング。ジョンの Woman みたいのを作りたかったその心がよぉーくわかるよ! 聴いてて途中で必ず感極まる。地上には、愛だけが最後に残る。。。。。。



パティーとオリヴィア以外で、ジョージとセックスした女は、まじ刺したい。


オワリ