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ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールドのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.8
2001年に58歳で他界したザ・ビートルズのジョージ・ハリスンの生涯を追った、マーティン・スコセッシ監督2011年のドキュメンタリー。スコセッシ監督はザ・バンドの解散ライブを記録した「ラスト・ワルツ」(1978年)や「ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム」(2005年)、「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」(2008年)など、名だたるロックミュージシャンの音楽映画を手がけているが、この作品は、その実績を買われてか、ジョージ・ハリスンの未亡人、オリヴィア・ハリスンから直々に依頼されたという。それだけにジョージ・ハリスンの未公開写真やプライベート映像がふんだんに作品中には使用され、上映時間も3時間28分にも及び大作となっている。

全体は二部構成となっているが、興味深いのはザ・ビートルズ解散以後のジョージ・ハリスンを描いた第二部。精神世界へと傾倒していく彼の内面や交際範囲の広かった私生活などを、綺羅星のごとく並ぶ関係者の証言で明らかにしていく。エリック・クラプトンやポール・マッカートニー、リンゴ・スターなどはもちろん、映画監督のテリー・ギリアム、F1ドライバーのジャッキー・スチュワートなどが、ジョージ・ハリスンのミュージシャン以外の素顔なども語っている。タイトルはジョージ・ハリスンの2枚目のソロアルバムに由来するものだが、強くインドに惹かれていたジョージ・ハリスンを、まさに象徴するものであり、この作品を表すには誠にふさわしいものだ。

個人的には前妻パティ・ボイドと不倫関係となったが、それども友人関係を続けたエリック・クラプトンの証言や、ジョージ・ハリスンの2番目の妻で、この作品の製作者にも名を連ねているオリヴィア・ハリスン、そして息子のダニー・ハリスンの家族としてのエピソードなどが興味深かった。日本では劇場で期間限定公開されたということだが、3時間28分のこの作品、配信で自由な時間配分で観られるのはとてもありがたい。
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