鰯

ベイルートの鰯のレビュー・感想・評価

ベイルート(2018年製作の映画)
3.5
Welcome to Beirut

1972年、レバノンに全権大使として駐在するスカイルズ。妻とパレスチナ難民の少年カーリムと暮らしていたが、ある事件ですべてを失ってしまう。10年後アメリカで労働争議の仲裁をしていたスカイルズは、再びレバノンへ向かうよう依頼を受ける。

ジョン・ハムの10年を経た変化は、メイクや髪型もありますが、見事。声色から肌の質、目の色まで変わっていたたまれません。とはいえ一貫して昔風の渋さがあって好き
ロザムンド・パイクも良かった。彼女の敵か味方かわからない不穏さは独特ですよね

交渉場面やコミュニケーションはなかなか見もので各々の意図や戦略が見え隠れして興味深い。略号暗号に加えて、はったり、脅しなどなど。けっこう衝撃だったのは、話している最中にある人が突然射殺されたとき。相手方は「うわあこいつら本気だな」となるんだと思う。単なる口のうまさだけでなく、あらゆる手立てを用いて目標を達成しようとするところに面白さを感じました
イマイチだったのは、悪そうなやつが悪いという意外性の少なさ。思わぬ助太刀こそ現れるものの、主人公と仲違いするやつは大体仲違いしたまま。そして主人公周辺にはタイムリミットこそあれど、危機はそれほど訪れなかったこと。スカイルズの思うがまま、というわけでもなくすっきり感もない。おもしろいけどもう1度は観ないかなあ
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