TAK44マグナム

デス・レース4 アナーキーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.6
殺ってGo!Go!Go!


なんだかんだ言って息の長いシリーズとなった「デスレース」。
ロジャー・コーマン製作のオリジナル版やリメイク版はとりあえず置いておいて、ポール・W・S・アンダーソンが監督してジェイソン・ステイサムがステアリングを握った一作目は硬質な鉛が火の粉を噴きあげるようにアドレナリンがドクドク放出されるケッ作でした。
けれども、2作目、3作目と正直言ってあまりピンとこない出来映えだったので、ここまできたらお付き合いというか、惰性でブルーレイを買った次第。
しかしこれが良い感じにヒャッハーしまくりのバカ映画で嬉しい誤算!
「ドゥームズデイ」や「ニューヨーク1997」が好きならアリかもしれません。

真面目とバカの要素が混在している本作、高い壁に囲まれた巨大な監獄と化した街で狂った犯罪者たちが好き勝手しているという設定。
あまりにも無法すぎるので管理している会社はSWATを投入したりして鎮静化を狙いますが返り討ちにあう始末。
というのも、強力なカリスマである(前作までとは無関係らしい)フランケンシュタインが支配しているからなのであります。
そんな無法者たちが何を楽しみに生きているのかというと、それは当然デスレース!
デスレースとは街の支配者を決めるレースで、武装化した車で殺人上等レースを繰り広げるという危険極まりないクレイジーさが大受け。
海賊インターネット回線を使って生中継され、大金が動くギャンブルの対象にもなっているのです。
サービスとして(?)スターターのギャルは股間にモザイク入りの丸出しルック(苦笑)!
とにかくオッパイとDEATHしかありません!
キャラ立ちの点で、レース出場者に無理やり個性を出そうとしているのも好印象(苦笑)
いつもの如く、まるでゴミのように死んでゆきますけれど。
特にサイドカーの奴なんてどう見ても自殺行為としか思えない(汗)
撃たれたら即、死亡じゃないですか!
阿保なのか?
そんなところも楽しめるバカの祭典ですが、肝心のレースがうやむやになるオチは少し弱い。
展開としては正しい締め方なのでしょうけれど、出来ればレースで決着をつけてから殺し合いをして欲しかったかな。
まぁ、そんな殺伐としたところもデスレースっぽいと言えばそうなのですが。

本作のトピックとしては、ダニー・トレホ&ダニー・グローバーの二大ダニーが共演というのもあります。
しかし両者の絡みは無く、トレホは裸の女子をはべらせた胴元役。
ストーリー的にもあまり必要性が感じられないゲストといった感じで、グローバーの方が主人公と直接絡む重要な役でした。
最近のダニー・グローバーはこんなのばかり出ているような気がしますが、さすがの貫禄と存在感。
やはり、プレデターに認めてもらった男は一味違いますよ!

アクションシーンもそこそこありますが無駄にスプラッターシーンも多く、チェーンソーでの首チョンパを丁寧に見せてくれるヴァイオレンスなホラー風味も楽しめます。
なんといっても周りは悪党ばかりなので、主人公もイケイケで殺っちゃいますから(汗)
そのくせ女子には弱いけれど。


おそらく予算もそこそこなB級作品ですが、意外とヒャッハーなモブシーン等も作り込まれているのでショボさが感じられず良かったです。
ロジャー・コーマンが創作したオリジナル版が持つ精神というか、社会を皮肉った風刺色はなりを潜め、「デスレース」という作品がどうこうよりも、かつて山のように量産された80年代のポストアポカリプスなB級アクションを蘇らせたような、そんな作品。
過剰サービスすぎて暴発していた「ドゥームズデイ」の振り切れ具合には及ばないものの、かなり近しいバカバカしさを堪能できました。
脳味噌を使わない緩めの映画を観たい時に有り難かったです。
ナビゲーター女子の男前な格好よさ、そして何故かプレデター風なフランケンシュタインのマスクは必見!
本家「マッドマックス」以外のヒャッハー!な映画を観たくなった時にオススメなので、肩の力を抜いて、マッドな世界観に浸ってください。
あくまでB級ですけれどね(苦笑)


セル・ブルーレイにて