Tラモーン

ランボー ラスト・ブラッドのTラモーンのレビュー・感想・評価

4.3
ようやく見届けた!漢ジョン・ランボーの生き様を!


ミャンマー軍事政権との戦いから11年。元グリーンベレーでベトナム帰還兵のランボー(シルヴェスター・スタローン)は生まれ故郷のアリゾナで亡き父の牧場で暮らしていた。旧友のマリア(アドリアナ・バラッザ)と彼女の孫娘ガブリエラ(イヴェット・モンレアル)とともに家族として平和な日々を送るランボー。しかし、自分を捨てた父の消息を追ってメキシコへ渡ったガブリエラが人身売買カルテルに拉致されてしまう。自身の"娘"として愛するガブリエラを取り戻すため、ランボーの最後の戦いが始まる!


前作『ランボー 最後の戦場』に続くハードコア路線。決してエンタメ作品とは言えない強烈な暴力と残酷描写。敢えて『ランボー』として暴力を描くことに、スタローンの覚悟と気合を感じた。

冒頭、牧歌的雰囲気の中、愛馬を調教する姿や、ガブリエラと乗馬を楽しむランボーを見ているとベトナムの傷は癒えたかのように見える。
しかし、よくよく見れば彼は自宅の地下に塹壕のようにトンネルを張り巡らし、そこで寝泊まりをする生活を送っており、まだまだ戦争で負った心の傷が深く刻み込まれたままだということがわかってくる。

そんな彼の心の拠り所であるガブリエラを取り戻すため、単身メキシコへ乗り込むランボー。
ここまで悪そうに描いて大丈夫なの?ってくらいメキシコの治安が悪い。ガブリエラが頼りにしてきたジゼルという友人も完全にギャングファッションだし、案の定ガブリエラはクラブで薬を盛られ誘拐され、人身売買カルテルに薬漬けにされてしまう。

無謀にも単独でカルテルのアジトに乗り込んだランボーは袋叩きにされてしまうんだけど、彼のここまで痛々しい姿って過去シリーズでも無かったんじゃないかな。腫れ上がった顔面で"彼女を解放しろ"とうめくランボーにとって彼女がどれほど大切なものであったか。

"人生はこれからだ。やることがいっぱいある"

"なぜ俺じゃない!"

前作の終盤で、誰かのために生きることの意味を思い出したかに見えたランボー。そんな彼がガブリエラに見出した人生の喜び。それを蹂躙されたランボーの怒りは地獄の業火の如く燃え上がる。

アリゾナの牧場へ戻り戦いの準備をするランボーに迷いはない。燃え盛る復讐の炎を内に秘め、再び弓矢を手に取るランボー!

再びメキシコのカルテルのアジトへ舞い戻り、襲撃作戦を敢行するランボー。ガブリエラを奪った極悪非道なギャングに慈悲などない。ボスの弟の生首が宣戦布告だ。

再び舞台はアリゾナの牧場へと戻る。メンツを潰されたカルテル一味が重武装して乗り込んでくるのを待ち伏せるランボー。
牧場に仕掛けた地雷と地下からのゲリラ攻撃で先制を仕掛ける!そしてブービートラップを張り巡らせた地下トンネルへと敵を引き摺り込む!
残酷なまでの殺傷能力のトラップの数々とベトナム時代のゲリラ戦法で大勢の敵をステルスキルしていくランボー!得意とするフィールドに持ち込み頭脳戦で単騎奮闘する姿は痺れるカッコよさ。

たった1人を相手に部下を全滅させられた敵のボスに対し、ランボーが無線で突き付ける死の宣告。

"俺の怒りを思い知れ"

弓矢とナイフ。ジョン・ランボーを象徴する武器でトドメの鉄槌を落とす姿は鬼神の如し。強烈なゴア描写はむしろ暴力に対するランボーの怒りのアンチテーゼなのだ。

残虐な暴力描写を余す事なく描くことで、暴力によって平和な暮らしを脅かされている人々がいる世界への強い怒りが込められているように、ぼくは感じた。
誰かのために生きる道を見つけたジョン・ランボーが"愛する人を暴力から守るために戦え"とそう言ってくれているような気がする。


"俺は戦い続ける。大切な思い出を守るために"
Tラモーン

Tラモーン