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ブラッド・インフェルノのhorahukiのレビュー・感想・評価

ブラッド・インフェルノ(2017年製作の映画)
2.3
人肉パイときったねぇ便座のバリューセット。
水没した街にドキュメンタリーを撮影しにやってきた若者集団がアニマルマスクをつけた集団に襲われちゃう『悪魔のいけにえ』系ホラー。

WTC2018公開作です。
ちなみにWTCはワイルドトラウマシネマの略だそうです。なんやかんやでコレ結構期待してたんですよ。ジャケもカッコイイし。でも微妙でした…。同じWTCの『トーナメント』は良かったのになー。

あらすじ…
かつて水没した町エペクエン。今では水が引き、廃墟のようになり放置されている。そこへかつてエペクエンで暮らしていた女性を連れて、ドキュメンタリー映画の撮影にやってきた主人公たち。道中、ガソリンスタンドでヤバイ奴らに絡まれるも無事到着。しかしエペクエンを走ってる途中で車が停止。調べると燃料ホースが何者かに切断されており…。

被災者たちの悲痛な叫びを超不謹慎に描いた作品。エペクエンというのはアルゼンチンにある実際の町。かつてはリゾート地として栄えたけど、1985年に大雨により湖水が溢れ水没。その後水位が低下し、2009年から町が現れるようになったらしいです。

大筋はほぼ『悪魔のいけにえ』。社会に押し潰された者たちが旅人を襲うというのは『サランドラ』『ヒルズ・ハブ・アイズ』と同じ。どれも好きな作品ですが、それらをミックスさせ、それっぽいとこを掻い摘んで薄〜く引き伸ばし、ダサい演出をチョイ足ししてグッチャグチャにしたような作品になってるのが残念。

でも冒頭の360度のトラッキングとか夕日バックの殺人鬼はかなり好き。その後も、荒廃した風景や夕日をバックにした映像は綺麗で好み。夜の食肉工場の外観も良い感じだったし。

車の中での撮影にも見られるように、本作には被災者と外部の人間との温度差が終始漂っている。理不尽に故郷を奪われた当事者とドキュメンタリー映画という当事者に寄り添うような形を取りつつも、その実、映画の完成にしか興味がない監督やエロしか頭にない若者たち。表向きは被災者に思いを馳せるように振る舞いながらも、心の底には別の目的がある。その利己的な目的のために、良いように消費される被災者という図式を提示したのは良かったと思います。

でも演出が本当にダサい。特にあの真っ赤な反転は何の意味があったんやろ。ドローンでの俯瞰撮影とかは結構好きだし(やり過ぎ感あるけど…)、せっかくの良いロケーションなんだから、わけわからんことせんでも良い画が撮れたんじゃないんすかね。実際、風景良かったし。BGM含めて全体的に演出が謎でしたけどね。

あと、人肉は百歩譲って食えるもんなんだとしても、ズボンと靴も一緒にミンチにしてうまいもんなんかな…。もうこの人たち味覚イッてんやろね。それと、あの黒いシミだらけの便座の嫌悪感が半端ないっすわ。あそこで普段用を足してんのかな…(^^;;

『悪魔のいけにえ』の流れを踏襲しつつも、被災当事者と外部の者の温度差を加えることで過去の同種の作品と差別化し、新しい方向性を打ち出したのは良かったと思いますが、演出がダサダサなのが残念な作品でした。でも良いところもあるので、今後に期待な監督です!
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