TAK44マグナム

ザ・ウォーターのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ザ・ウォーター(2018年製作の映画)
1.5
水に潜む古代の悪霊!


日本版のポスターを見るかぎり、「ジョジョの奇妙な冒険」に出てくる水のスタンド「アクアネックレス」みたいなのが、ロバート・ロドリゲスの「パラサイト」でクレア・デュヴァルが襲われる構図をパクった感じでビキニ女子に襲いかかっていて、これは猛暑にとてもピッタリな納涼ホラーだと思い、上映時間が渋谷で9時以降という、もはや終電を気にしないとならない時間にもかかわらず、意を決して観に行ったわけですよ。

そしたらね、もうこれが!

つまらない(汗)!
腰が抜けるほど、つまらなかった!

ポスターもね、たしかにこんな水の魔人みたいなのが出てくるオカルトモンスターものには違いないんですけれど、ぐわっ!とビキニ女子のブラを剥ぎ取ろうなんて勢いがあるシーンなんて無いじゃない!
詐欺だよね!

アルゼンチンの女優さんらしい、イツィアール・マルティネスって人が主演の他にも製作や脚本にも携わっている、ほとんどワンマンな映画で、頑張っているのは伝わってくるんですが、いかんせん空回りというか、ホラーファンが普通に望むモノを見せてはくれないって感じで、焦らされに焦らされた挙句、肩透かしで終わってしまいます。

古代から存在するという、淡水に生息して人の魂を喰らう悪霊が、封印されていたギリシャの井戸から逃げ出して、何故だかフロリダにあるプール付きアパートメントに潜んでいるというお話。
霊能者のオバちゃんも出てくるんですけど、この人はほとんどギャグ担当で何の役にも立たず。
仕方なく、ヒロインが立ち向かいます。
で、どうするのかな?と思って、ひたすら面白くも何ともない映画に付き合っていると、なんとまぁ!
包丁でカタをつけようとします!
相手が水なのに、包丁!
まぁ、それには理由もあるんですけれど、それにしたってね・・・
ゴム手袋に閉じ込めろとまでは言いませんが、何かしら気の利いた退治方法を期待したのに、包丁でどうにかなるのは如何なものでしょうか。


演出はダラダラと平板で、見せ場に乏しいのが致命的。
スプラッター要素もほぼ無し。
数少ない殺害場面も、鼻血が出てきたり白目を剥いたらオシマイ。
例外もありますが、グロさは感じられないでしょう。
これじゃ、衝撃の鼻血ホラー!ですよ。
せめてクライマックスぐらいは、プールパーティに来たボンクラどもが次々と襲われる阿鼻叫喚の地獄絵図を見せてほしいじゃありませんか。
なのに、プールパーティは開かれても何も起きない。
低予算で、その殆どを水が変形するCGに費やしたのかもしれませんが、それにしたってさほど効果的とも思えないし、別にプールの水がうねるとか、そんな派手さも皆無とあっては眠くなってしまっても仕方ないでしょう。
期待したものは全く見られず、特に重要でもない登場人物の動きなどにクドクドと尺がさかれているのは、イライラするのをいたずらに助長するだけだと思います。
登場人物たちにしても捌き方が下手なのか何なのか、謎の多いアレックスを筆頭に、ちっとも魅力的に映らないし、ヒロインがどうして○○なのか、その説明も足りていないので消化不良。
ラストなんて、そんなんで良いの?と、半ば呆れてしまいました。

それと、途中の「ブレアウィッチプロジェクト」のようなPOVは今更感がハンパなく、ものすごくダサいのでやめて欲しかったです。
違った画で緊迫感をだしたかったのかもしれませんが、何一つ新しい見せ方が出来ないのなら、もうPOVに手を出すべきではないでしょう。
そろそろ飽き飽きですよ。


アパートの敷地に閉じ込められ、部屋に逃げてもシャワーやキッチンから悪霊が追って来て、一人ずつ住人が無残に殺されてゆく・・・そしてやっとの思いで外へと出られたと思ったら雨が降ってきてジ・エンド!
そんな内容だったら、見せ方次第ではもっと低予算もカヴァーできるだろうし、楽しい夏のホラーだなぁ・・・で終わっていただろうに、期待してしまったぶん余計に残念でした。
作り手の趣味と合わないと、いかんともし難い壁が出来てしまいますね。
今回は、その壁が高すぎました。



・・・と言うか、バリバリアクション伝説という括りでの上映でしたけれど、これのどこがバリバリでアクションなのよ?
伝説になれるわけないよ!!


劇場(ヒューマントラストシネマ渋谷)にて