うさふわ

永遠に僕のもののうさふわのレビュー・感想・評価

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
3.4
ロレンソ・フェロがただただキュートな2時間。
なで肩ぽっこりお腹の幼児体型、ブロンドが輝く巻き毛、大きく垂れた甘い瞳、果実のように赤く豊潤なぷっくり唇…どう見ても天使です。
ロレンソ・フェロ演じるカルリートスは、アルゼンチン史上最悪のシリアルキラー、カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチがモデルとなっている。名前ながっ。笑
もっと狂気にまみれた感じだと思ってたけど思いのほかあっさり描かれていた印象。
社会のルールを一切無視して息をするように嘘をつき、何の悪びれもなく強盗殺人を繰り返す自分本位で幼稚な考えのサイコパスだが、今作では狂気や残虐性は最小限に抑え、猫のようにしなやかに、気の向くまま自由を謳歌しているように描かれている。
美しいものに吸い込まれて、欲しいものは手に入れないと気が済まない。人のものを奪うことに生きた心地を感じる。
天性の才能と言える勘の良さで犯罪をあっさりとやってのけ、自由奔放で、大胆で、鮮やかで、軽快な手口に魅せられてしまう。
カルリートスの無邪気な魅力にフォーカスし、美しく脚色されているフィクションに限りなく近い「実話」。鑑賞後調べたら実在のカルロスは金目的で強盗殺人をするし、誘拐、強姦、恨みから犯行に発展することも。映画ってそういうものなのかもしれないけど、実在犯はまだ生きてるし、遺族や被害者のことを考えると正直この映画を肯定できなかった。

シナリオはともかく、画は美しかった。甘いベビーフェイスのカルリートスと荒々しい色気を放つラモンの対照的なツーショットには特別BL好きじゃないけど、何か起こることをどこかで期待してしまうくらい、際どさに興奮した。
赤ちゃんみたいなぽっこりお腹に潜む拳銃、宝石まみれの画が好き。
日本の日常にはまずない非現実に溢れていて、夢から覚める瞬間のような終わり方の映画だった。
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