レオピン

THE GUILTY/ギルティのレオピンのネタバレレビュー・内容・結末

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

電話を使ったワンシチュエーションというとトム・ハーディの『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』なんかも近い。しかしなんでもリメイクしちゃうのね、あの国の人たちは。

なんだか声もかけづらい雰囲気。周りとコミュニケーションがとれていない。すぐにいっぱいいっぱいになるし、感情的になって相手の女性OPからキレられるし、他部署の連中とよく喧嘩する奴ってどこかに見下し入ってるのよ。

同僚にも失礼な態度を取りまくり越権行為の連続でおいおい、情報共有って知ってるか  
アンガーマネジメント研修受けましたか
チームプレイが出来ないとこうなるんだぞという職場のダメな奴の見本のような。

警察はいのちの電話じゃないんだ。もう何度言ったら分かるんだとあきれかけていたが、事は一刻を争うのも事実。別れた共同親権者の凶行か。子供への危害、妻を連れ去り? 

しだいに彼がどうしてそこまでこの通報に必死なのかが見えてくる。自分だけがという思いが強固にある。それにしてもこだわりすぎだな。 

欠落しているものだからこそ救えるものがある、といったようなある種当事者の話かなと思っていたが、いやもっと超えていた。あの心理的ターンにラスト正座

人生にウンザリしていた 取り除きたかった 何か悪いものを

電話口の女性イーベンを説得する中で過剰防衛を働いた己の隠れていた深層心理に気がつく。一番驚いたのは当の本人。人が人を救えるなどというのは単なる傲慢でしかない。

罪と向き合うってことは自分と向き合うこと。まさに「反省させると犯罪者になります」

正義の暴走に見える振る舞いは、彼の感情を表に引き出すための必要条件だった。あそこに到達するには査問とか懲戒処分ではおそらく無理、自身でたどりつく必要があった。そうすることで初めて被害者遺族と向き合える。贖罪が可能となる。 
警察官ってのは日頃感情を押し込めるのが仕事。だから尚更感情の爆発が必要なのだ。

このことは「謝罪 ユーチューバー」などで検索すれば一発で分かる。この映画とは真逆の表現が見られる。形式だけのまったく醜悪な姿が。

これはラジオドラマではたぶん達成出来ない。俳優ならではの息遣いが大きい。声に対するリアクション。  
助かったから良かった 嬉しいという反応ではなく、助かった 俺は何をすべき 
と少し先の感情を表現している。それこそギルティに気がついた時の表情も。
シナリオと役者の合致が素晴らしい作品でした。

あえて難癖つけるなら電話の仕事は大変です。大体オペレーター職をコトを起こした人間への罰として与えている組織には問題があります。電話番ではありません。
まして身の危険を感じてかけてくる電話を受ける立場の人間は広義のケアワーカーです。もう少し職員への心理的なサポートをお願いします。

事件ですか 事故ですか 
こちらは112番です
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