うるぐす

THE GUILTY/ギルティのうるぐすのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
4.3
【観客を映画監督として参加させるこの映画すごい】


舞台は緊急ダイアル室のみ。
この映画に外見ごと登場する人物はこの緊急ダイアル室にいる人間のみ。

ワンシチュエーションもの、ということでいいんですかね。

緊急ダイアルにかかってきた電話から1つの事件が浮かび上がり、主人公アスガーがダイアルを取り、ダイアルを回し、していきながらその事件の解決を目指す、といった内容で。

ワンシチュエーションですから、その事件の手がかりも、観客はアスガー同様にその音声を聞くことになるのです。
緊急ダイアルをかけてきた相手は一切映りません。

音声だけ。


我々観客はその音声から、電話をかけてきた相手の外見。髪型、顔、表情、体勢。
そして、相手の状況まですべて想像することになるのです。
で、冒頭の「映画監督として」ってどういうことかっていうと、観客が想像で描くシーンはきっとそれまでに見た映画やら何かで見た構図のようなもので想像する。それも観客の数だけその想像のパターンがある。

映画を見ながら(聴きながら)観客の頭の中で流れる映像は千差万別になるわけです。

だから、この映画、誰かと観に行ったあとに、電話の向こうのキャラクターについて話すとすごくいいと思うんです。

「イーベンの見た目どうだと思う?」
「ミケル絶対顔怖そう」

みたいな感じで。それぞれが思い描くキャラクターも違うだろうし、想像する世界は似てるけど少しずつ違っている。

それがなによりこの映画の発明だと思う。


それだけならまだしも、
映画を見終わって、
「ギルティー」という
タイトルに
ハッとさせられるんだから、
内容としても充分満足。

人間の持つ先入観や偏見に対して
思いっきり鐘を鳴らしてくれる点も含めて
企画、パッケージ、内容すべてが
素晴らしかった👏
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