まめまめちゃん

THE GUILTY/ギルティのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
4.0
緊急通報指令室のオペレーターであるアスガーは、酒飲みや薬物のトラブル処理案件ばかりで退屈していたがそれも今日まで。明日とある事件の裁判を打ち合わせ通りに終えれば晴れて現場に戻ることになっていた。ところが交代間際に受けた電話の女性が何者かに拉致されている様子。彼女やその娘、夫や、様々な部署や元同僚などに司令を出していくアスガー。彼の指示はどこへ向かっていくのか。事件は解決に向かうのか。

電話の声やその周囲の音を頼りに事件を解決に導く韓国ドラマ「ボイス〜112の奇跡〜」をまず思い出したが、ひとりの人間が高速道路運転中終始電話をする中で電話前と後の彼が全く違う立場に変わる「オンザハイウェイその夜86分」が近いかもしれない。本作は事件解決ストーリーを通して、アスガー自身の警察官として人間としての在り方、罪の意識を問うところが主題である。

電話は顔が見えない分だけ事件の全容がつかみ難い。かけ手や受け手の先入観、思い込みが事件を大きく左右する。こんなにも人間は感情的な生き物かとイラつくほどに、頼れる人を見誤ったり、耳触りの良い言葉に傾いたりする。その混乱の中で僅かな真実を拾って正確な判断を下そうと苛立ちもがくアスガーを見ていて、人は誠実であろうとする生き物なのだなと妙に心を揺さぶられた。それほど世界には悪意が満ちているわけで。そんな世界に私たちはいるわけで。

とはいえ、アスガーも事件の当事者も、もう少し目の前にいる人を頼れよと思わなくもなかった。アスガーの最後の台詞も若干唐突に感じたのはシチュエーションに多少の無理や歪みが生じているからなのでは。