小

ゲンボとタシの夢見るブータンの小のレビュー・感想・評価

3.7
<世界で初めて劇場公開されるブータン人作家によるドキュメンタリー>(公式ウェブ)ということなのだけれど、ホームドラマっぽい。

1000年以上、代々寺院を受け継いできた家族の父は、長男のゲンボ(16歳)には後を継いでもらいたい。また、ブータン初のサッカー代表チームに入ることを夢見、自分のことを弟だと思ってるんじゃないのという感じでゲンボにベッタリな妹のタシ(15歳)には女らしく生きて欲しいと。

父はゲンボに「お前の意志を尊重する」と言いつつ、僧侶になることがいかに素晴らしいかをクドクドと説き、遠く離れた僧院学校へ行かせようとする。親が「自分の意志で親の思い通りになれ」と欲望してしまうというのは万国共通なのだろうけど、近代化で色々な道が急速に開けてきているブータンにあって、ゲンボは明らかに躊躇している。

でもゲンボは良い子みたいで、まあ仕方ないか的雰囲気を漂わすのだけれど、ゲンボと離れたくないタシが、僧侶になったら彼女できないよ、こっちにいて彼女つくればいいじゃん、みたいなことを言って引き止めようするという。

いわゆる近代化が進んだ日本的価値観では、まあまあイケメンの16歳男子が父親のあの姿をみて継ぎたいとは思わない気がする。もしゲンボが僧侶になって自分の息子に後を継がせたいと思うとしたら、急速な近代化、ヤバくね?

●物語(50%×3.5):1.75
・GNH(国民総幸福量)目標のブータンが近代化とどう折り合いをつけていくのか、今後が気になる。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・やたらインタビューみたいなドキュメンタリーっぽくないところが、テーマにあっていたかも。

●画、音、音楽(20%×3.5):0.70
・まあまあ。
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