しめじろー

CLIMAX クライマックスのしめじろーのレビュー・感想・評価

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)
4.0
キッツかった。後半、ラリってるシーンのカメラグルグル(しかも長え)に完全に酔ってしまった。食欲ないレベル。

ダンサー集団の打ち上げパーティーにて、何者かが飲み物にドラッグを盛り、ハイと混乱と疑心暗鬼が渦巻き、阿鼻叫喚の地獄絵図になっていく様子が、長回しを多用したカメラワークで臨場感たっぷりに描かれます。分類としてはホラーやスリラーだと思います。グロはないですが、痛くはあります。何人か死にます。
しかしこれはかなり感覚的な映画ですね。あんまり中身はなくて、犯人当ても主題じゃない。鳴り止まないダンスミュージックと悲鳴をBGMに、若者たちの狂乱っぷりをひたすら描いています。ずっと踊ってるんですよ彼ら。ダンサーなので。まだ正気だった冒頭からダンスシーンがたっぷり長尺で描かれるんですが、このダンスがめちゃくちゃかっこよくて、高揚感がすごい。そもそも「踊り」とは、人が人間性を手放して神と交わる行為だといいます。自ら狂ってヒトを手放して神々の世界に行くわけです。ダンスとドラッグハイの親和性の高さよ。ラリってるのか踊ってるのかわからない。ただの学生集団では描けない、このダンスという要素が強烈で上手いです。観客を狂気の世界に手招きします。

そんなわけでダンスの高揚感とホラーの高揚感が一度に楽しめる、一風変わったパニックムービーでした。映画の作りも、時系列を入れ替えたりと映画そのものをコラージュしたようなすごい変わった作り。全体通して悪い夢でも見ているようでした。しかし面白いもの見たなーという、終わってみると満足度は高いです。ドラッグハイになるか?バッドトリップになるか?あなたはどっち!