ちょっと何観たのかわからないほどの衝撃。この映画に意味とか見いだすのはダメなのかな…。
とにかくダンサーたちの身体表現が見事で、最初はダンスに見惚れて楽しかった。圧倒された。
そこからドラマパートを挟んで、各々の関係性や、背景、抱えているものなんかが少しずつ見え始め、物語がだんだんきな臭くなってくる。
段々と地獄に降りていくように、それぞれの問題が浮き彫りになっていって、クライマックスは阿鼻叫喚の血の池みたいな感じだった。
息詰まる「これどーなるねん!?」っていう閉塞感から、最後のワンコの鳴き声を聞いたときの開放感がすごかった。やっと終わる…っていう感じ。
主な登場人物は決められていて、ドラマはちゃんと用意されているけど、それぞれ色んな場所で色んなことが起こっていて、それが交わったり離れたりしていくのは、イマーシブシアターみたいだった(総じてどの場面も地獄なんだけど)。
そうか。地獄では、出された食べ物を食べると、そこから抜け出せなくなるんだっけ。逆を言えば、それを食べないと地獄には居られなくなるんだろうな。だから、パンチを飲んでいなかった人たちは、みんな命を落としたりしたのかも(もちろん飲んでいてもひどい目に遭った人も居るけど)。
でも、この映画かなり悪趣味だなぁ。構造的にはミッドサマーとよく似ているかもしれない。薬の力を借りて、人が頑張ってかぶっている善性という仮面を、むりやり引っ剥がすような映画。後味悪い、胸くそ映画だと思うから、観る人をかなり選ぶかも…。
映像表現や音楽、ダンス、地獄ながらも観てしまったところは、個人的に評価できるところだと思う。字幕もひっくり返ったのにはびっくりした!