エクストリームマン

ハロウィンのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

ハロウィン(2018年製作の映画)
4.2
He's waited for this night... he's waited for me... I've waited for him...

単なるホラーアイコンに零落させられてしまったマイケル・マイヤーズを、再び理解不能で多少のベクトルと加速度のついた“死”そのものへと蘇らせ、喪った神聖を取り戻させる丁寧なリハビリ、そんな印象の映画。彼は何者にも理解できず、また共感もさせない純粋な暴力の形相である。ただひとりマイケル・マイヤーズを忘れなかったローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス)は、T2のサラ・コナーを超える徹底した戦いの権化にならざるを得ず、40年も前の事件で精神がおかしくなったと家族にさえ疎まれている。この「周りに危機を理解してもらえない」ところは、まさにホラーの典型。ただ、いかにもといった形で登場する、ホラー映画で“安全地帯”にいるはずのオタク少年も、怪物を理解した(つもりの)マッドな博士も、ただ家にいた主婦も、マイケル・マイヤーズの前には等しく殺戮の対象でしかない。ハロウィンの夜、ワンカットで無造作に立ち入った家の中で人をランダムに殺してく場面はいっそ芸術的ですらある。わかったようなことを言って、観察するためにマイケル・マイヤーズを解き放った精神科医には、マイク・マイヤーズに来歴や動機を与えてその神聖を“殺した”製作者たちの姿が重なって見える。観客の知覚も精神も研ぎ澄まされた状態で突入するクライマックス、特にカレン(ジュディ・グリア)の切れ味が素晴しい。あの切れ味に、失われたはずの母娘の絆が見える。