バンド活動と旅行でたくさんの思い出が生まれた濃密な夏休みが一昨日で終わり、今日から学校が再スタート。そんなわけで溜まったレビューを時間を見つけて少しずつ書き連ねていこうと思います。
まずは今作。実はこれ、池袋グランドシネマサンシャインに行ったときに公開初日GOしたのよ。期待を膨らませて。しかもVESTIAという極音上映で。だけど眠気も相まってうーん?という感じだったので1ヶ月後に再鑑賞した。そこで今作の形が見えてきた気がした。
まず良いところから。
とにかくタロンくんの歌が素晴らしい。キングスマンから観てきてどんどん魅力的な役者さんになっていく彼。SINGで彼の歌唱力の片鱗を垣間見たが、今作はその才能が全開。
Young Sheldonのイアンくん風の男の子から成長し、大人になったエルトンへとバトンタッチするSaturday Night Alright For Fightingでビビッと電撃が走る。少しハスキーな歌声をイギリス仕込みの細かいビブラートに乗せて飛び跳ねるバンビのように歌い切る。
かと思えばYour Songでは親友への深い愛を優しく歌い上げる。親友へのちょっとした照れが見えるのも彼らしい。歌声で泣かせにくるのはズルい。
演技も全力そのもの。走り回ったり飛び込んだり階段から転がり落ちたり。この映画への並々ならぬ意気込みが感じられる。
次にエルトンの名曲のアレンジが素晴らしい。今作のサントラは公開前から聴き倒していたが、正直原曲を聴いたことのない曲も多かった。改めて聴いてみると、確かにちょっと古さを感じる楽曲もちらほら。より鮮やかになった今作サントラの素晴らしさを実感した。
以上のところは特に良かった点。ここから少し厳しめにいく。
まず今作を見終わって思うのは『あぁほとんどエルトンのエゴだったな』ということ。
エンターテイナーやショーマンって、やはり自分を良く見せたいという思いが強い傾向にあると思う。今作はエルトン自身が大きく製作に関わっていると考えると、彼の思惑のようなものが見えてしまって。
例えるなら、「いつもは笑顔ニコニコだっけど、実は影でこんなに苦労してました!もっとかまって!」みたいな。自己承認欲求みたいなものがすごく見えてしまって。彼の過去の発言などを知っているとうーんと首を傾げたくなってしまう。
"エルトンの赤裸々な過去をリアルに再現!"みたいな宣伝文句があった記憶があるんだけど、いやもっといろいろやってたんじゃないかな〜って思ってしまった。別にエルトン嫌いなわけじゃないんだけどね。
音楽とドラマが奇跡的に融合したボラプと比較してしまうのは正直酷だが、やはり比較してしまうよな。あのボラプの大円弾を期待していたので、おおっここで終わりかとなってしまった。
自分はエルトンのガチオタではないのでそこに愛着がなかったのも原因だろうな。ただ曲の素晴らしさは本物。Tiny dancerやBennie and the Jets、そしてRocket Man。今作を通して改めて触れる名曲の数々。エルトンver.もタロンver.も素晴らしい歌声に乗って届いてくる。純粋に音楽を楽しむ。これに尽きるのかな。