ずどこんちょ

キングダムのずどこんちょのレビュー・感想・評価

キングダム(2019年製作の映画)
3.6
日常風景に「非日常」を溶け込ませる佐藤信介監督が、ついに「非日常」を土台にした傑作を作り出してしまいました。

春秋戦国時代末期、中国統一を夢に掲げて王位奪還のため立ち上がる政と共に戦う信を描いた歴史ドラマです。
原作未読ですが、原作の人気の高さはもちろん知っていますし、本作が実写化として原作ファンにも評価されている点からも相当再現度が高いのだと感じております。
これだけの豪華キャストを配して、美術も衣装もかなり凝っていました。最近、映画を通して昔の異国の空気感を味わうのが新たな映画の楽しみ方の一つになっております。

主人公・信を演じる山崎賢人の印象が大きく変わりました。
熱情的で直感タイプの熱い青年ですが、亡き親友との約束を果たすために政の夢に寄り添って激しい戦場に身を投じていきます。芯の通った男の生き様はカッコ良い。泣いたり怒ったり、窮地も粘ってニヤリと笑ったり。単調なイメージのあったいつもの山崎賢人とは少し違います。とても表現力豊かに好演していました。
本来、政は信にとって親友・漂を影武者にして死に導いた憎むべき相手。しかし、信がそれでも政と共に戦ったのは、政が中国の国境を無くして統一し、戦乱の世を治めたいという壮大な夢を抱いていたからでしょう。
身分の低い漂と信がかつて抱いていた、「天下の大将軍になる」という夢を叶えるために、政の中に王としての資質を見極めたのです。

例えば人気漫画『ONE PIECE』は海賊王になる主人公とその仲間たち。主人公の夢が周囲の心を動かし、仲間を増やします。一方、本作は天下人を支える将軍が主人公です。夢を持つ青年を支える仲間のサポートが物語の魅力。
夢を"支える"カッコ良さというものを感じました。

大沢たかおの「ンフ」は、原作では最後にハートマークか何か付いてるのか……