藻類デスモデスムス属

葬式の名人の藻類デスモデスムス属のレビュー・感想・評価

葬式の名人(2019年製作の映画)
3.0
うきは。


競泳や水球をみにいくわけではありません。ジムや市民プールで運動するわけでもありません。流れるプールに流されにいきましょう。浮き輪をもっていきたいと思います。泳げないわけではないですが、流れるプールで本気で泳ぐ人はいません。流されるのにきれいなフォームはいりません。飛び込みません。流されます。自ら流されにいきましょう。流されまいとすれば流れるものも流れません。体を流すと、追いかけてきては追い越していく流れが、バナナの湾曲のように心地よく体を押して、流されているのだと、心が大変安らぎます。まわりはぴちゃぴちゃ楽しそう。浮き輪にお洒落はありません。いくつかバリエーションのある中で、モンキー感のあるやつを選びましょう。浮き輪に真っ赤な尻を突っ込めば、あとはゆらゆら流される。カメの甲羅干しは、ただの日光浴ではありません。血液をくつくつと温めます。骨の成長にも欠かせません。猿のお腹干しは、ただのひなたぼっこです。なけなしの皮下脂肪に熱をせっせと蓄えて、ぷかりぷかりと漂います。3度目のスロープをまたあがれませんでした。4周目に入ります。首を長くして待ちましょう。ほだされた雲が流されていく。束ねられた風船の一群がどこからか頭上に流れ着いて、手を伸ばしたが届かなかった。ふわふわとそのまま遠くの小さな影になるものを見送りましょう。どこまでもカメのつもりでいて、いつの間にか首が長くなってしまった場合は、慌てずに引っ込めましょう。指を指されても気にしません。ちゃぽんと水に潜ったら、飽きもせずにころころと流されます。来年の夏、僕がサングラスをしていても、どうぞ笑わないでくださいね。