Taketo

斬、のTaketoのレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
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長い平和が続いた事によって人を切った事がない武士。という存在は、現在の日本の戦争体験者が減っているという点で同じなのかなと思います。戦争体験者が減るということはその体験を伝えられる人が減るということであるのと同時に、戦争は戦争を体験したことがない人が増えるほど、起きやすくなります。 ちなみに戦争に行ったことがないのに戦争に賛成している政治家とかの事をチキンホークと言ったりします。そういう考えを物語の中で担っているのが農民の市助なのかなと思いました。彼は若さからというのもあり、血気盛んで戦いに行くことに躊躇がありません。
対して池松壮亮も若いですがまだ知恵があり「復讐は復讐しか生まない」ということを理解しています。武士であり、たしかな技術を持っていますが、彼は人を切ったことがなく、切ることもできません。
池松壮亮に蒼井優が敵討ち行くことを要求するシーンで、蒼井優が「向こうが先に仕掛けてきたんだ」と言います。それに対して池松壮亮は「あんなのは手を出した内に入りません」という意見を返しますが、これを聞いた時僕は「そうか?」と思いました。後ろから蹴って田んぼに落としたのはどう考えても手を出した内に入るだろと思いました。つまり論理は関係なく、池松壮亮は人を切りたくないという事なんだなと自分の中で納得しました。
また、池松壮亮が刀を持って「なんでこんなものを持っているんだ」という台詞も印象的でした。池松君のオナニーシーンも相まって「リリーのすべて」を少し思い出したりしました。「リリーのすべて」では「僕は女なのだから本来ちんこがついているはずでなはない」ということです。池松壮亮も戦いたくないのに自分が刀を持っているのはおかしい。たまたま自分が男として生まれてきたのと同じようにたまたま武士の家で生まれただけで、戦う理由はどこにもない。
しかし狂気に触れた時、自分の身を守る為に人を切るのかなと思いました。蒼井優が犯されてる時ですら刀を抜かなかったですしね。
色々書きましたが正直そんなに好きな作品ではないというか、少し退屈な気もしたました。
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