カトマン

斬、のカトマンのレビュー・感想・評価

斬、(2018年製作の映画)
4.0
暴力が暴力を引き起こし、暴力を行使した者は暴力の報いを受ける。暴力の果てしない因果を描いた作品。
時代劇という題材は、これまで映画やテレビで描かれてきた悪を罰する暴力を含めた、全ての暴力に対する批判として機能してたと思います。
塚本晋也演ずる時代劇然としたステレオタイプの剣豪と、池松壮亮演ずる暴力を行使できない非時代劇な主人公を対比させる事で、正義の為の暴力の是非を鮮明にさせており、塚本晋也演ずる剣豪が取る野盗討伐という行動は一見正しく見えるが、実際は暴力の因果の引き金に過ぎず、この際に彼が野党と同じ様な致命傷を負う事で、より因果を際立たせていたと思います。こうした過程により暴力の象徴として描かれる、塚本演ずる剣豪と池松壮亮のラストの対峙と顛末は暴力の是非をへの問いかけであり、題名の「斬、」への想いに繋がる様に思えます。
ラストシーンで森を彷徨う主人公の行く果ては、野火を通過し、現代へ続いて行く事を暗示しているかの様でした。
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