スチールラグ

さよならくちびるのスチールラグのレビュー・感想・評価

さよならくちびる(2019年製作の映画)
4.0
「しのです」
「かよです」
「しのかよです」
本当に見たかったのはこっちだったのだけれど(我ながらしつこい)、
この場面を見ることは永遠に無いので、ハルレオを見に行った。

ロックっぽい楽曲だと思っていたら、まさに“アコギ一本(二本)”のフォークだった。でもこの方が彼女たちが大切にしている歌詞がより生きてくるのだろうと思う。二人とも自然で優しい歌声、そっと寄り添い染みてくるような曲。おまけにガールズデュオ。そうだ、元々ガールズバンド好きだったもんなと昔のことを思い出した。

正直言うと、僕が今まで聴いてきたのはほとんどが洋楽だった。そんな僕の家に、なぜか、古いCharaのアルバムがある。昨年、NHKのあるドラマで使われていて、欲しくなって中古で買い求めたものだ。どこかの女の子の部屋に長年あったであろうそのCDは、ケースが擦り傷だらけでその子が何度も何度も繰り返し聴いたであろうことがしのばれる。歌詞カードを開いてみて、改めてその歌詞の力強さに圧倒される。こんな歌詞はCharaしか書けないと確信する。だからこそファンの方々は大切にし、繰り返し聴くのだろう。ハルレオでも彼女たちの楽曲を愛し、ベンチで並んでイヤホンを分けて聴くファンの子たちが出てくる。ベタな演出だけど、正直泣ける。理屈なんかじゃなくて、心が動かされるんだというファンの気持ちが良く伝わってくる。

物語は、ロードムービーの様相を呈し、所々に断片的なエピソードが織り込まれる。彼女たちがなぜ解散しようとするのかは明確には示されない。路上に椅子を出しマッサージをするホームレスのシーンが印象的。結局、ハルにとっては、レオのように自由になりたいけれどそうできない矛盾、レオにとっては、ハルへの憧れと何か助けになりたいけれどそれができないジレンマ、相互のその複雑な感情に、二人ともずっと苛立っていた気がする。そういう不器用な青春の苛立ちが音楽とともに描かれる。
でも、ラストがあれなんだったら、誰か先に教えてくれても良いんじゃないかという気がするんですが?マモル(既にトラウマ)いやシマがなんかしでかさないかと最後までずっとハラハラしながらみていたんですけど?成田凌さん良い人でした笑。

ハルのMCが泣かせる。ライブハウスの雰囲気が良く出ていたと思う。物語はかなり抑制気味だったがしっかり泣かせてハッピーエンド(僕にとっては)。良い映画でした。

「さよならくちびる」TOHOシネマズ日比谷20190612
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