horahuki

デス・フロアのhorahukiのレビュー・感想・評価

デス・フロア(2017年製作の映画)
2.7
「女大好き!不倫サイコー!」なクソ社長がエレベーターに閉じ込められちゃった👍
髭面太っちょオッサン警官とイチャイチャしながら脱出を企てるソリッドシチュなゾンビ映画。

ひとつ前に投稿した『リビング・デッドサバイバー』もそうだったけど、ゾンビパンデミックの中ひとりぼっちでうんたらする系の作品が流行ってんのかな。

あらすじ…
会社社長の主人公が毎日のルーティンのように女口説きながら出社してるときに、エレベーターが停止。中には主人公だけ。管理会社が修理に行ってるはずなのに一向に直らない。クライアントを待たせてるため、イライラが募って行く主人公。修理の担当者に直接電話して怒鳴り散らそうとしたら、屋上にいる担当者の悲鳴が聞こえ、突然電話が切れる。どうやら外ではゾンビパンデミックが発生してるようで…。

エレベーターのドアを無理やりこじ開けて脱出しようとするけど、何かの部品が引っかかって中途半端にしか開かず、その隙間からゾンビが時々こんにちはしてくるわけです(ジャケ画像)。脱出はできないけど、侵入されることもないというある意味最も安全な空間。一番安全な場所にいて、目の前や電話先で部下が死んで行くのをただ見てる(聞いてる)だけのクソ経営者というのはどこか暗喩的にも見えますね。

妻に電話するもゾンビが自宅に侵入されたようで絶望的な状況。でも主人公は閉じ込められ助けに行くこともできないというもどかしさ。しかも自分は絶対安全という皮肉。ハラハラする良いシーンのはずなんだけど、ここの演出がチグハグ感半端ない!妻を心配してるような演出は入るんだけど、妻の電話が切れてから一切連絡取ろうともしないし、それ以降特に口にも出さないという主人公の切り替えの早さ。本当に心配してんのかな。時々電話しようとする素ぶりがあるだけでだいぶ違うんじゃ…。

今まで人を好きなように使ってきたクソな主人公が、誰にも頼ることのできない状況に置かれることで、人、そして妻の有り難みを実感する的な再生物語を多分やりたかったんだと思いますが、かなり薄味な上にふざけたラスト(後述)のせいで良くわかんないことになってるような…。

主人公は絶対安全な場所にいるわけだから、他人との唯一の連絡手段であるはずの電話が本作での緊迫感を演出するキーアイテムになるはずなんだけど、うまく使えてるようには思えない。これがなかったら誰も主人公がここにいることわかんないんだから、本当なら助かるための命綱なわけです。なのに都合よく人が代わる代わるエレベーター前にやってきてくれるというね。ほぼ死ぬけど。そんな感じで、閉じ込められてることによるスリルはほぼない。

そして相手方の状況や外の状況を電話でしか聞けないが故の緊迫感があるはずなんだけど、正直本作ではうまくいってるように思えない。最初にドアが開かない理由を見せてるせいで、あいつの行動が全部無駄に思えるから何の緊迫感もないのも残念。

そして出た!!「THE END“?”」での幕切れ!まさかこのご時世にこんなクソダサなことやる映画があったなんて!これ許されるのは『マックィーンの絶対の危機』『最後の海底巨獣』のイヤワースJr.監督だけですよ!
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