もとまち

闇動画14のもとまちのレビュー・感想・評価

闇動画14(2016年製作の映画)
3.7
『義母の家』
ありがちな怪奇現象でも、見せ方が巧ければここまで怖く出来るのかと感動する。ひとりでに動く水道、ベランダに転がるカラスの死体、廊下の薄闇を横切る影。これでもかと地味な怪異を積み重ねた果てに、最後は暴力性を剥き出しにして襲い掛かってくる霊が良い。『闇動画』シリーズの霊はいつもバイオレント。カメラが宙づりにされる首締めシーンはインパクト抜群だが、浮き上がる足と腕の合成がショボくてちょいと興醒め。義母の霊が男性みたいに野太い声を発しているのがめっちゃ怖かった。

『友人の結婚』
ちょっと昔の『世にも奇妙な物語』の一話でありそうなプロット。小さい部屋で男二人が酒を飲んでいるだけの超ミニマムなシチュエーションだが、終始不穏な緊張感に満ちていて引き込まれる。ドアの隙間越しに見えるギョロ目と、フタのされた浴槽からしてオチは見え見えなものの、ラストの友人からの告白には「あ、そっち?」という意外な驚きが。あとやっぱ死体よね死体。相変わらず造形にめちゃくちゃ気合が入ってて純粋に素敵だと思う。

『死の円環』
中々の意欲作......だが、展開や伏線が序盤の時点でほとんど予測出来てしまうため、あとは思った通りに進む流れを消化試合的に眺めるしかないのが退屈だった。終盤、嗚咽をもらしながら黒板に正の字を書き入れるシーンが、抗いようのない絶望感に満ちていて素晴らしかった。

今回はいずれも高水準なPOVホラーのオムニバスみたいな内容で面白かった。劇伴もナレーションも無駄な検証映像も一切なく、とことんシンプルにまとまった良作短編集。
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