Inagaquilala

すべての終わりのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

すべての終わり(2018年製作の映画)
3.7
Netflixのオリジナル作品。脚本は2010年にブラックリスト(評価は高いが映画化されていない作品)入りしていたもので、8年の月日をかけて、ついに映像化が実現したというところか。まず、物語の設定に興味を引かれた。いまシカゴにいる主人公は、シアトルにいる恋人と電話をしている。その最中、電話の向こうで異変が起きたようで、突然、連絡がつかなくなる。シカゴには恋人の実家があり、結婚の許可を得るために主人公はひとりで訪れていた。しかし、恋人の父親の態度は、どうやら主人公を受け入れていないようだ。

主人公はシアトルに飛ぼうと空港に駆けつけるが、全便欠航。どうやら西海岸で大地震が起きたという情報だけが、主人公の耳に入る。恋人の実家にとって返した主人公は、そこで車を借りて、恋人の住むシアトルへと出発する。しかも、どうも折り合いの悪い恋人の父親と一緒に。物語の基本は、このけっして仲が良いとは言えない主人公と父親のバディロードムービーだ。父親にはどうやら軍隊の経験があり、道中襲ってくる暴漢たちをたちまち退治してしまう。こうしてシアトルに向かう車の旅が始まる。

西海岸で何が起こっているかは、あまりはっきりとは明かされない。とにかくシカゴからシアトルに向かうふたりの道中行が描かれていく。冒頭では、ちょっとしたディザスタームービーかと思ったが、観ていくに従って、そうではないことに気づく。非常時に人間はどんな行動をとるのか、そちらのほうがテーマとしては相応しいかもしれない。幕切りには、少し割り切れないものも残るが、作品としてのクオリティは高いと思う。
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