CHEBUNBUN

ヘイト・ユー・ギブのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ヘイト・ユー・ギブ(2018年製作の映画)
3.0
【高校生に観てほしい!英語科教師よ、是非授業で使ってください!】
『Blindspotting』評でも書いたのだが、この手の差別に対抗する様を描いた作品だと、どうしても当事者意識目線で映画は語られてしまう。ただ、実際には警察に暴行されたり殺されたりしても、なかなか声を挙げられない。例え、事件がきっかけで大規模なデモが発生しても、どこか当事者の手から離れてしまっている感じがする。そういう、物語の方が多い気がする。そして本作は『Blindspotting』、『ブラック・クランズマン』同様、デモや暴動から一歩引いた目線で「差別」と向き合っている。

主人公のスターは、貧困層出身の生徒だが、スクールカースト最下位という訳ではなく、割とそこそこのポジションでなんとか平静を保っている。しかし、黒人、貧乏人というレッテルからは逃れることができず、富裕層の白人ギャルからは蔑視の目線を送られる。それでも、「んなもん知ったことか」と白人のカレシと堂々キスを交わしたりする。そんな彼女に降りかかった悲劇。それは白人警察官に、親友が射殺されたことだ。夜な夜なドライブしていると、警察官に止められる。警察官は差別的な目線で横暴な態度を取る。それに親友はブチギレる。これはマズイと、スマホで証拠を撮ろうとすると、警察官は、

「おい、何やってる?撮るんじゃねぇ」

と怒鳴り散らすのだ。

そして、一悶着の末に、親友は射殺されてしまう。

葬儀が行われると共に、スターの周りでは警察官に対する憎悪が募り、抗議デモへシフトしていく。では、彼女はその代表としてフロントラインに立つのか?それは違う。哀しみは心に残れど、彼女の生活自体は平凡に時が流れるのだ。そして、周りがドンドン暴徒化していく。それにより、白人ギャルから嫌がらせを受ける。それでも、よくある映画のように劇的に状況が変わることはないのだ。

本作は、冷静に、抗議と暴動の差を見つめ直す。もちろん、不正義に対する抗議は大事だ。市民が声をあげることで世の中はよくなっていく。しかし、それが暴徒と化して、暴力が支配するようになると、それは被害者も加害者である。その対比として、暴動シーンと、警察の暴力に対して市民が一丸となりスマホを向けるシークエンスをしっかり描写する。

これは日本公開してほしいのだが、配給が20世紀フォックスだけあって、『Love, サイモン 17歳の告白』や『アンセイン』のように配信スルーになりそうだ。うーん