ひろ

ヘイト・ユー・ギブのひろのレビュー・感想・評価

ヘイト・ユー・ギブ(2018年製作の映画)
4.2
2017年に発表された小説を原作にジョージ・ティルマン・ジュニア監督によって製作された2018年のアメリカ映画

直訳は「あなたがくれた憎しみ」。なんてセンスのいいタイトルなんだ。もちろん見る前は意味の分からないタイトルなんだけど、見終わった後に納得する素晴らしいタイトルだと思う

16歳の女の子スター。彼女は低所得者が暮らす黒人の多いエリアに住みながら、富裕層の白人が多い私立の学校に通う高校生。ある日、久しぶりに再会した黒人の幼馴染カリルが一緒にいる時に警官に撃ち殺されてしまう。日常が崩壊したスターは親友のカレルの無念を晴らすために立ち上がるといった展開

こういったヤングアダルト作品は青春して恋愛してキラキラしているか、急にゾンビが出てきてホラーになるかとかがパターンのノリの軽いものが多い。しかし、この作品は黒人差別というテーマとしては多く使われるものをヤングアダルト作品で扱ってるから面白い。高校生活と自分の生きる社会、親友の死など考えることが多いヒロインがどこに向かっていくかがポイント。スターの指針を定めるための物語だ

まだ無名だけどスターを演じたアマンドラ・ステンバーグの演技がずば抜けている。最初から地元と高校で二面性を持つ役だし、そこから絶望感を味わったり、使命感に燃えたりと忙しい。とにかく感情の起伏が多いスターを完璧に演じていた。この女優はこれから注目だね。間違いなく売れるでしょう

若い子の物語が青春映画とは限らない。共感と高揚感だけで楽しませる青春映画とは次元が違う。いつまでたっても同じ事件が起こるアメリカ。警官に黒人が殺され、黒人が暴徒化する。この映画を観て欲しい。そして考えてもらいたい。受け止めるべきメッセージが詰め込まれた作品
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