yukihiro084

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのyukihiro084のレビュー・感想・評価

4.5
観てきました。いや、
見届けてきました。

僕は、泣かない子供だった。
ほとんど家にいなかった父のせいで
母は僕らを、ひとりで育てた。
頼りの兄は、父に似て、
やはり母を困らせていた。
僕はワガママも文句も言わず、
これと言った反抗もしなかった。
これ以上、母を困らせたくなかった。
悩みを相談することも 
泣くのも我慢する子供になっていた。

そんな僕が出会ったのが妻だった。
妻は、びっくりするくらい
よく泣く人だった。
周りの大人が泣いていなくても
ひとり声をあげ泣くように人だった。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
Netflixでテレビシリーズ全話と
スペシャル版を全て観てから、
やっと観てきた劇場版。

映画は、テレビシリーズの登場人物や
エピソードを配置しつつ、3つの
ストーリーが交錯する。それは、
謎解きとドラマと愛のパート。
最初の10分ほどの構成はズルい。
早くヴァイオレットたちに会いたくなる。
(そのヴァイオレット)は笑顔なのか、
泣き顔なのか、ドキドキしながら映画は
始まる。ズルいなぁ。

この映画は、映画的なんだよね。
しっかり(間)がある。
セリフとセリフの間にしっかり間がある。
その静寂の分、僕らは想像してしまう。
その想いの深さを。
暗転からクレジットが出るまでにも
しっかり(間)がある。
観る側にも優しいのだ。

あと、登場人物たちが悲しみを
感じている時、登場人物たちの
顔を映されることはない。
その分、僕らは想像してしまう。
その悲しみの深さを。

昨日は鬼滅の刃の最終巻で泣き、
今日は今作で泣いた泣いた。
もう感情がめちゃくちゃだ。

「最近、よく泣くんだよね。」と
僕が言うと「歳なんだよ。」と
妻は笑う。君に似てきたんだよ。と
心で反論する。
「私も最近、涙腺弱くなってきた。」と
妻が言う。

いやいや、最近じゃないでしょ。と、
また僕は、楽しい気持ちになる。
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