銀色のファクシミリ

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンの銀色のファクシミリのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

『#劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2020/日)
劇場にて。TVシリーズと外伝につづく、ヴァイオレット・エヴァーガーデン物語の最終章。なのでこの映画から最大のエモーションを受けるには、それらの鑑賞が必要。未見の方はぜひそれでご覧になって下さい。冒頭エピから涙腺を刺激されます。

感想。最後の最後まで「気持ちを伝えることの大切さ」で貫いた物語でした。そしてクライマックスとラストに彼女のセリフはない。彼女の想いと自動書記人形だから経験できた今までの全てが「最後の手紙」で伝えられる。

ヴァイオレットの物語を主筋に「二人の兄の想い」と「変わってゆく世の中と変わらない人のつながり」をサイドストーリーとして厚みをもたせ、それらの物語をさらに包む大きな物語で作品への興味を牽引する。多くの悲しみを経てなお、この作品を世に出してくれた人々に感謝しかありません。感想オシマイ。


『#劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』ネタバレ感想。クライマックスの前後のシーンは結構シュールで面白かったんじゃないかという妄想。

クライマックス、船から海へとダイブしたヴァイオレットを見た社長、絶対に「オレも行くか?」と一瞬迷ったと思うのですよね。でも「感動的な再会をしている二人の後で『ヴァイオレットちゃん、ギルベルト、助けてくれ~!』と溺れる自分を想像して止めたんじゃないかな。

感動の再会の翌日に「仕事が溜まっているので」と、ふたたび波止場に向かい「あんた、たしか昨日船に乗ったよね?」と問われて「急用があり、泳いで戻りました」と冷静に答えてそうなヴァイオレットちゃん。しかも運賃は少佐に借りているはず。それに冗談が云えるようになったヴァイオレットをはじめて見た少佐のリアクションが見たかった。

冒頭でテレビシリーズのNO1級に泣けるエピもってくるのはズルいと思ったけど、同時に「50年分の手紙は全部アンに届きました。ヴァイオレットの仕事は無駄になりませんでした」とこのエピソードの結末も説明しているんだよね。

少佐を象徴する片腕を失くしたカマキリの死骸とか、荒涼とした島での嵐で描くヴァイオレットの心象とか、翌日のブドウの収穫(と改良)の喜びから伝わる、島も少しづつ時間で癒されている感じとか、語るべき部分はまだまだある映画。

ともあれ、ホッジンズ社長と同じように、観客みんなが「ヴァイオレットちゃん…」(泣)と何度も思い、最後まで「ヴァイオレットちゃん…」(泣)と思いながら席を立つ映画でした。「少佐、指示をください」と泣いていたヴァイオレットとか、「私の体は燃えています」と戦場での記憶に苦しめられるヴァイオレットを思い出すと、さらにエモーション。やっぱりこの作品だけだと「へえ、いい映画だね」で終わってしまうと思うので、テレビシリーズから見てもらいたいですよね。ふせったーもオシマイ。