ちろる

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのちろるのレビュー・感想・評価

4.8
『愛している』

その言葉の意味を探して、探して、理解して、再びその言葉を抱きしめる。

ヴァイオレットが探し求めていた「答え」がいま、ようやく明かされる。

こんなに、こんなに私って泣けるんだと自分に驚いたほど、嗚咽した作品。

ドラマシリーズでずっと、人間らしくなっていく彼女を見ていたからこそ、閉じ込めていた思いが爆発するかのように、言葉にならない感情が次々と溢れていく。

この宝物のようなラストを私の中途半端な言葉で汚してしまっては、これから観る人に大変申し訳ないので、敢えてこの映画についてではなくドラマシリーズ全編と映画、外伝全てを通した感想を書こうと思う。

私はドラマシリーズをめったなことがない限り観ない。それはシーズンが続きエンドレスに続くのが嫌なのだが、これは終結しているのと、あまりにも評判が良いから手を出さずにはいられなかった。
そして、本当に手を出したことは当たりで、まず、圧倒的な作画の美しさと、古きパリを中心としたヨーロッパ各地の美しき景色は、私もこのヴァイオレットと共にいつも旅をしているようなそんな感覚になって楽しかった。
恐ろしき戦争で武器になりながら、なんとか生き延び、やがて郵便局で自動手記人形になって働くまで、そしてそこで新たな優しい仲間や客との出会いがヴァイオレットをより「人間らしく」作り替えていく様子が、物語としてとても美しくて、ヴァイオレットがどんどんと愛おしくなるのだ。

そんなヴァイオレットが沢山のお客様と絆を紡ぎながら、成長した先に、この映画はヴァイオレットが唯一埋められなかったパズルのピースをはめてくれるのだ。
なんというカタルシス。
何という完全体のラブストーリー。

友人で、この映画だけを観てそれでも感動したと言っている子がいたが、これから観る人は、出来ることならばやはりドラマシリーズから積み重ねてもらいたい。

積み重ねて頂ければきっと、私の嗚咽の意味も少しは理解していただけるのではないかと思っている。
ちろる

ちろる