竜どん

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンの竜どんのレビュー・感想・評価

4.0
手紙送り主達の回想は作品の良さを改めて思い出させてくれて冒頭から涙が溢れそうになった。テレビ版鑑賞組の心の琴線に触れない訳が無い。ズルい笑。
移ろいゆく時代の流れの中、人の感情が「分からない」少女が「手紙」の代筆業を通して人々のその「想い」に触れ感じ経験し、「愛してる」を手に入れる物語。

既出のエピソードでは代筆依頼主に寄り添う形でただただ真摯に彼等の背中を押す役に徹していたヴァイオレットが、本作に於いては自らの感情に従い、想い人を追い求め、激情のまま慟哭する。正直ギルベルトの大馬鹿野郎っぷりは憤慨モノではあったが、ヴァイオレットが「心」を取り戻し彼への想いを確かな形に積み上げていったのと同じ重さの悔恨と自責の念が彼の側にはあったであろうことも理解出来る。だからこそそれ等を乗り越えた先に待っていた二人の幸せが、涙が、切なく美しく眩しかった。シリーズとしての続きはもう観れないであろう終わり方ではあるけれども、ようやく訪れたヴァイオレットの人生に幸あらんことを心から願う。手に入れた大切な人、ふたつの言葉と共に。

「愛してる」と「ありがとう」
人間(ひと)にとって一番大事なもの。


追記
封切り初日にて鑑賞。間隔開け着席ではあるもののレイトで満席なんて久し振りに経験。心待ちにしていたファンの多さを実感しました。凄惨な大事件・コロナ禍を乗り越え、本作を我々に届けて下さった京アニスタッフの皆様には「ありがとう」の言葉しかございません。
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