ーcoyolyー

ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

3.0
グッゲンハイム美術館のグッゲンハイムさんかと思いきやそのグッゲンハイムさんはこのドキュメンタリーの主役の伯父さんなんだそうでした。最終的に険悪な仲だった伯父さんの美術館にコレクション寄贈できてたけどこれは彼女なりの復讐なんだろうか。

何というか非モテヤリマンが声高らかに、周囲の人間に聞こえよがしに大声で語りまくる恋愛というか性愛の話を聞かされ続けるあの感覚を最初から最後まで味わう羽目になって精神だいぶ削られました。男からはただの金目当てで愛されてないことに気付いていない哀れさもだけど、この人に枕営業してる男性芸術家たちの低劣な品性にもグッタリしましたね。これあれでしょ、誰にでも股開く女に対して度胸試しとかお化け屋敷感覚で皆経験して語り合って馬鹿にするホモソーシャルのとっても嫌な面を煮詰めたやつでしょ。彼女に対して敬意の欠片もなく蔑んで馬鹿にして金だけ引っ張ってるんだけど、彼女はそれに薄々気づいていても見ないようにしている。

ペギーは芸術を愛している人ではなくて「芸術を愛する私」というイメージを愛している人で、でもこの人がジャクソン・ポロックを発見したというから一体何がどうしてそれができた?と、そこだけ気になって見続けていたら何のことはない、ペギーはポロック作品を「ひどいでしょ。鍛錬の形跡もない」と腐していたところに、「興味深い」「アメリカで見た中で一番刺激的な作品だ」とモンドリアンが評したのを聞いて手のひらひっくり返して乗っかっただけでした。他のコレクション作品に関しても推して知るべしです。実態としては取り巻きに上手く乗せられて買わされてたんだろう。

ポロックはデュシャンとかみたいに彼女の取り巻きやる才能なかったみたいで、そらそうだわな、とは思う。デュシャンもあの芸風だからまあそうだわな、とも思う。でもこの人に枕営業してまで芸術をやれる才能は私にはないから、ポロックのところ以外は違うユニヴァースの話としてポカーンとして見てた。
ーcoyolyー

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