蒼海

LAPSEの蒼海のネタバレレビュー・内容・結末

LAPSE(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「未来に抗え。」がテーマの3作品
未来に抗おうともがく姿を写したうえで、未来には抗えないというのを突きつけられたように感じる
中村ゆりかとSUMIREの美しさに終始感動していた

リンデン・バウム・ダンスが特に好きだ
人工知能による延命治療を受けている寝たきりのシナノおばあちゃん 人工知能はシナノの記憶までも把握していて、誕生日に6歳の頃の思い出の曲を流してきたりもする その時その場にいなかったのにシナノの人生を知り尽くしているかのようにあれこれいろいろ提供する人工知能とそれに頼りきる家族 結婚式で親族が集まっても、シナノのことを話題にもしない ヨウが苛々するのも当然だ 自分の命を人工知能に掌握されるなんて死んでも嫌だ そうするくらいなら最期くらい自分の意志で死なせてくれと思う(ヒトシジュニアが言ってた) どうせ死ぬならば シナノも、自分の思い出のプレイリストを流されると、ヨウの母にもわかるほど苦しげな顔をしていた 人工知能なんかに、わかってたまるか 私の青春、私の人生
少女時代のシナノと深夜のダンスホールで踊る夢を見るヨウ 若いシナノは、捻くれてないキラッキラ美人なのに、貯金していたり好きな人に声かける勇気がなかったりするところが可愛くて、買い物したいだけして踊りたいだけ踊って、朝になったら始発に向かって走って 自分の生きたいように生きている女の子 現在のシナノとは真反対の姿 ヨウが「私は少女時代の彼女を思い出す」と言っていたのは、自分の命を自分で燃やして生きるシナノだけが本当だからかなと思った
おばあちゃんが法改正で人工知能に安楽死させられることになったことを知って、ヨウは人工知能に延命中止される前に自らおばあちゃんを人工知能から解放する(?たぶん) そしておばあちゃんの脂肪で石鹸を作る(?たぶん) 意識が飛んで、白いお花畑に白いワンピースを着たヨウと、少女時代のシナノ 最後にシナノは「ヨウちゃんありがとう」って言ってた 後で調べて知ったのは、ナチスがユダヤ人の脂肪で石鹸を作ってたという都市伝説があったこと 現代の感覚からしても悪魔的だと非難されそうな行動だけど、シナノにとってはこれが一番幸せな最期であり遺り方だったのかな 私もそう思う ベッドサイドにずっと飾ってあった白いお花が入っていて、とても綺麗な石鹸だった
蒼海

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