MasaichiYaguchi

マチルダ 禁断の恋のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

マチルダ 禁断の恋(2017年製作の映画)
3.4
実話を基に描かれるロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世と人気バレリーナとの禁断の恋は、当時の絢爛豪華な皇族の宮殿や劇場を舞台に、ニコライ2世をはじめとした男たちを虜にしたヒロイン・マチルダの小悪魔的な魅力が溢れている。
ニコライ2世とマチルダとの出会いは演者と観客という立場のものだったが、公演での思い掛けない〝アクシデント〟が2人を一気に引き寄せてしまう。
このマチルダを演じる「ゆれる人魚」のミハリナ・オルシャンスカがバレエシーンを含めて蠱惑的に美しく、目が釘付けになってしまう。
マチルダは自分の美貌やバレエを武器に何とかニコライ2世との愛を勝ち取ろうとするのだが、ロシア王位継承者と一介のバレリーナとの愛を皇族や貴族は認めず、彼女を排除しようとする。
本作にはマチルダとコントラストを成す女性として、ヘッセン大公女アリックスがいて、彼女はニコライ2世が幼い頃から決まっていた政略結婚の相手。
王族や貴族社会の壁を物ともせず愛に走るマチルダに対し、アリックスはドイツの大公令嬢としての誇りを持って対峙していく。
最終的にニコライ2世が2人の女性、マチルダとアリックスのどちらを伴侶として選んだのかは史実としてあるので述べるまでもないが、その後の彼らの人生を鑑みてみると、運命の皮肉を感じざるを得ない。