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凪待ちのoden8のレビュー・感想・評価

凪待ち(2019年製作の映画)
3.4
鑑賞中、ずっと心がザワザワするの。それも心地の悪い感じでね。

慎吾ちゃん演じる郁男がまぁ〜大層クソなんだけども…。ギャンブルに狂ってるのもクソやけど。それより何よりね、心が何かにやられちまってるのよね。というよりかは、大きく欠落してしまっているのかな。
彼が、人生のどのタイミングでクズになったかは描かれていなけど。物語の中で訪れる、変わる機会を尽く放棄しているよね。
コイツ…ホンマに情けねぇなぁ、とは思うんだけども。どこか、"変われない""変わろうとしない"気持ちも凄く共感もしてしまうんだよね。
人って、自分のあかん所に目を向けるフリは簡単にできるけど。真摯に向き合うことってめちゃくそ難しいもの。それって弱い自分への言い訳でしかないんやけど。ホンマは、決して無理なことでもないはずで。

郁男の手紙が切な過ぎるんだよ。人の本当の声って、その主がどんな人間であれ心を傾けざるおえないよね。だから、自分の声は、ちゃんと届けなきゃいかん。

郁男に欠落していたもの。彼自身に足りないもの多かったけど。何より温かな心の拠り所がなかったのかもしれない。
裏切っても、裏切っても。断ち切れない温もり。

郁男はずっと嵐の中を彷徨っていた。そのことに自分で理解していても。嵐に抗い続けることしかできなかった。ずっと、苛立ちや不甲斐なさで心が騒がしかったんだよね。
本当に自分を信じてくれる人ができた時。初めて風が雑音が止んだんだよね。きっと。一度、凪を感じ。静かに自分と向き合えたなら。きっと、頑張って生きれる自分がそこにはいるはずだよね。

慎吾ちゃんのクソっぷりが、めちゃくそハードやったけど。その演技には些か感嘆してしまう。
そして、やっぱりリリィじぃやん。毎度毎度、この人はホンマに気持ち悪い役巧すぎるわん。てか、最早フラグでしかないやん。

観てて、気持ちの良い作品ではないけど。ダメな自分(僕)を"このままでいいのか?"と戒めるには、かなりいい作品。
白石監督の胸糞悪い作品が、やはり僕は大好きです💞

Cast(役者·キャラ) 4
Story(物語) 3
Architecture(構成) 3.5
Picture(画) 3
Acoustic (音) 3.5
23-28
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