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凪待ちのykkのレビュー・感想・評価

凪待ち(2019年製作の映画)
3.7
ギャンブル依存性は、病気なので、治療を受けないと、良くならないし、だいたい本人も、本当に止めたいと思っているのに、止められないから、とてもつらいと思う。周りの人に迷惑をかけている自覚もあるし、親切にされる度に、罪悪感で、いたたまれなくなることだろう。きっと、めちゃくちゃ、つらいはずだ。

香取慎吾の、あの甘ったるい話し方で、郁男のような男を演じることができるのか?と割りと、いや、かなり疑ってかかっていたけれど、これがなかなか、少しあの口調を抑えているのか、いいところまできてたように思う。

あと、パチンコでも競馬でもなく、競輪てとこがリアル博打打ちって感じで好感?持てた。脇を固める役者さんもよかった。物語自体は大きな起承転結もないし、個人的な感想としては、郁男は、これからも、ベースにグズな部分をもったまま、葛藤しながら、生きていくような気がするけど、映画を見終わった時に、そう感じさせてくれたことが、とてもよかった。病院連れてってくれる人がいないと、あそこまでいくと治らない気がするから。

震災の傷もまたそう簡単に消えるものではないだろう。だが生きているものは、葛藤しながらも生きていかねばならない。私も東北ではないが大きな震災を経験済みだけど、ふと何かの拍子にあの恐怖がリアルによみがえることがある。もう随分と年月が経っているのに。

誰かの優しさが、そこにあっても、すべてが上手くいくとは限らないのがリアルだけど、やっぱり誰かの優しさはありがたい。何だか上手く書けないな。

まあ観終わった時に、自然と、内省してみたり、誰かに感謝したり、いろいろな解釈を思案したくなる映画はとてもいい映画だと思う。この映画も私にとってはそういう映画だった。

ほんと、あの口調がもう少し違っていたら、顔も個性的だし、いろんな役ができそうなのになあ。ボイトレとかでなんとかならないものかなあ。余計なお世話だけど。
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