ハレルヤ

凪待ちのハレルヤのレビュー・感想・評価

凪待ち(2019年製作の映画)
4.0
ギャンブルとアルコールを断ち切り、恋人とその娘と新たな人生を踏み出そうとする1人の中年男。ある重大事件が発生した事で、また破滅的な方向へと向かってしまうサスペンスドラマ。

全く気が抜けない2時間。流石は白石監督。そして香取慎吾。この人に全部持って行かれた作品でしたね。

本来はそれなりに良い人である主人公郁男。しかし根っからの博打好きであり大酒飲み。後半へ向かっていくにつれて、手が付けられなくなる程の自暴自棄に陥る姿は、今までの香取慎吾からは想像できないレベルでした。

そこへ郁男がギャンブルへ引き込まれていくあの映像が揺らいでいく演出が、また非常に効果的に見えてきます。

「ヒメアノ〜ル」の森田剛もそうでしたが、今までジャニーズとしてのイメージがある人が、こんな闇にまみれた主人公像を演じるのは、やっぱりギャップが凄い。

恒松祐里も若いながらも良い演技を見せていましたし、リリー・フランキーの存在感も抜群でした。

突然前触れもなく愛する人を失う喪失感、やりきれない思いに自分を責め続ける後悔。そこからの再生へと足を向けていく主人公の姿は、舞台となった東北の地とリンクしていたように見えました。

説明不足な点もあるし、都合が良い点もある作品なので、手放しで名作という感じではありませんが、期待にはキッチリ応えてくれたと思います。
ハレルヤ

ハレルヤ